東京ダンボ

資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

1872年、資生堂は漢方薬が主流の時代にあって、日本初の民間洋風調剤薬局として東京・銀座に誕生しました。創業者の福原有信は海軍病院の薬局長でしたが、世間に粗悪な薬品が出回っていることを憂い、また、日本にはない医薬分業システムの確立を志して、資生堂を開業しました。有信が24歳の時でした。
 
そうです、2022年は資生堂が銀座に開店して150年になる記念の年となるのです。
 
資生堂の長い歴史の中で生み出された商品や宣伝制作物をはじめとする様々な資料を一元的に収集・保存し収蔵品の一部を展示公開している「資生堂企業資料館」は、創業120周年を迎えた1992年(平成4)に静岡県掛川市に開設されました。
 
館内では、資生堂が日本初の民間洋風調剤薬局として創業した1872年(明治5)から今日までの企業の歩みや商品パッケージ、ポスター、新聞・雑誌広告などの広告関連資料、ビューティーコンサルタントのコスチュームの変遷などをご覧いただけるほか、資生堂と日本の化粧文化の関わりなどについてご紹介しています。
また、資生堂創業の頃の銀座のイメージをジオラマで再現していて、こちらも興味深いです。
 
館内で展示されている資料の一部について、資生堂様から資料提供いただいたのでご紹介させていただきます。

福原衛生歯磨石鹸

福原衛生歯磨石鹸 資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

1888年(明治21年)に発売された日本初の固形石鹸状の練歯磨。粉歯磨が1袋2~3銭の時代に陶製の容器に入って25銭と大変高価でしたが、品質が良く売行きが上々、1890年(明治23年)の第3回内国勧業博覧会で褒状を受けました。容器の上部に、当時の資生堂の商標である「鷹」のマークが描かれています。

オイデルミン

オイデルミン 資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

1897年、資生堂は「オイデルミン」のほか数点の商品を発売し化粧品業界に進出しました。中味の処方は、ベルリン大学に留学経験のある当時の東京帝国大学教授長井長義博士の研究にもとづくもので、資生堂は化粧品においても、薬品同様、科学的で高品質な商品の開発をめざしました。
当時の化粧水は日本風の名称が大半であったのに対し、オイデルミンはギリシャ語の「eu」(良い)と「derma」(皮膚)からの造語で、容器のガラス瓶も美しく、しかも中の液体が赤ワインを思わせる鮮やかな色味をしていたので、「資生堂の赤い水」の愛称で親しまれました。

オイデルミンは、発売から100年以上たつ現在も多くのひとに愛用されている、超ロングセラー商品です。発売100年にあたる1997年には、フランスのクリエーター、セルジュ・ルタンスがボトルをデザインした「オイデルミン グローバル」が、脈々と受継がれる資生堂の美意識の象徴として、日本をはじめ海外で同時に発売されました。中味の処方も更に進化し、「乾燥から肌の水分を保持し肌の生まれかわりのリズムを整える」高機能化粧液となっています。
 

香水「花椿」

香水「花椿」 資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

日本人により制作された本格的香水「花椿」
1910年代の日本における香水はパリからの輸入品が中心で、中には粗悪な模造品も見られましたが、福原有信の息子で初代社長・福原信三は椿や梅、藤といった日本的な花の香りになぞらえた香水を創りだしました。1917年に発売した香水「花椿」は、日本人の手で制作された先駆けとも言える本格的香水です。翌1918年には香水「梅」や「藤」を発売。カットグラスを思わせる良質なガラス瓶を使用し、商品名と花のデザインを金箔で焼き付けるという豪華なものでした。同年、婦人雑誌に掲載された広告には、資生堂の特製香水として21種もの香水名が記されています。

 資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

福原信三は、単に花の香りを再現するのではなく、花のもつ感覚、イメージを香りとして創作しようと努めました。香水「月見草」では、砂丘の彼方に太陽が沈むなか、月見草の黄色い花が開く情景を香りに表現するという、斬新な試みを行いました。

ポスター

ポスター 資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

1926年 沢 令花
雪降る夜にコートを羽織った女性の趣きある作品です。

先に紹介したオイデルミンのポスターは矢部 季で、これらのポスターは毎月配布され、季節感が織り込まれていました。

また、ミュージアムショップではこれらのポスターや資生堂意匠部に在籍していた小村雪岱作品のポストカードを購入できます。

 資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

アクセス

「資生堂企業資料館」はJR「掛川駅」下車、南口よりタクシーで5分、徒歩20分。
バス「掛川駅」南口より、市街地循環線(南回り)、「資生堂アートハウス 入口」下車。
※「掛川駅」南口からのバスでの所要時間は、下車後の徒歩を含め、約15分。
東名高速「掛川IC」より車で7分。新東名高速「森掛川IC」より車で30分。
 
入場料:              無料
開業時間:          10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:              ・毎週土曜~木曜日(祝日の場合も休館)
       ・夏季(8月中旬)
       ・年末年始(12月末~1月初旬)
休館日が毎週土曜~木曜日(祝日の場合も休館)ということは、金曜日しか開館していないということです。ご来館の際にはお気を付けください!

掛川駅近くには「東海の名城」とうたわれる掛川城や、美味しいうなぎ屋さんもあるので、新幹線「こだま」で約1時間40分のショートトリップを楽しんでは如何でしょうか?
 

資生堂企業資料館オンラインツアー

金曜日しか開館しておらず、掛川まで行くのはチョットという方、実はオンラインで観覧できる「資生堂企業資料館オンラインツアー」がご用意されています。
 
150周年を迎える資生堂の長い歴史の中で生み出された商品や、宣伝制作物をはじめとする様々な資料の一部を展示公開している資生堂企業資料館。企業の歩みをはじめ、商品パッケージやポスター、資生堂と日本の化粧文化の関わりなどについて動画でご紹介されています。
 

 資生堂 150年の歴史を知るには企業資料館に足を運ぼう!
   (静岡県掛川市)

・館長挨拶
・日本初の民間洋風調剤薬局
・化粧品事業への進出
・初代社長・福原信三の芸術家としての側面
・試験室と意匠部の設立
・資生堂パーラーと資生堂ギャラリー
・美容科・美髪科・子供服科の開設
・豊かなライフスタイルの提案
・文化情報誌の刊行
・ミス・シセイドウの誕生
・花椿会と資生堂式新美顔術
・成長の時代
・より美しく、より健やかに、生きるために
・グローバル化
・資生堂書体
・欧文ロゴ
・花椿マーク
・福原信三の化粧品哲学
・夢から生まれた女性像

 

19項目ものテーマがあり、いずれもコンパクトに解りやすく作られています。
 
さあ、これを観れば皆さんも資生堂博士になれますよ!