東劇は築地のランドマーク
銀座から築地に向かっていくと、今は高速道路を跨いでいる萬年橋を越えてすぐ右手に見えるのが〔東劇ビル〕です。ここに松竹の本社が入っています。現在のビルが建てられたのは1975(昭和50)年ですので、もうすぐ半世紀を数えることになります。
もともとこの場所に初期の〔東京劇場〕(略称「東劇」)が建造されたのは1930(昭和5)年のことです。いかめしい建物は当時から築地の名物だったそうです。当初は演劇場としてオープンし、戦争で〔歌舞伎座〕が被災したので、しばらくの間は歌舞伎の上演を一手に引き受けていたということです。多くの名優がここの舞台に立ちました。
その後、映画館に転換し、長い間親しまれてきました。最近は「シネマ歌舞伎」や「シネマオペラ」を上映することも多く、熱心なファンが集まっています。
ただ、このビルも築50年という節目を迎え、昨年、松竹は2020年代後半に建て替え予定と発表しました。築地地区では旧卸売市場の跡地をはじめ街区の再開発計画が幾つも進んでいます。臨海地下鉄構想も現実味を帯びてきました。これから町の様子も大きく変わっていくでしょう。移りゆく街の景色を記憶に残しておきたいものです。