滅紫

18年ぶり孝玉コンビの「切られ与三」ー鳳凰祭四月大歌舞伎

歌舞伎座新開場10周年の「鳳凰祭大歌舞伎」が始まりました。今月から以前の二部制に戻っての興行です。昼の部は「新・陰陽師」そして夜の部は仁左衛門・玉三郎の孝玉コンビによる通称「切られ与三」こと「与話情浮名横櫛」。調べてみるとこのコンビでの最初は昭和57年(1982) 3月の歌舞伎座。その後何度となくこの組み合わせで上演され、直近は平成17年4月の歌舞伎座なので実に18年ぶりとあって満員の客席です。

歌舞伎狂言としては「白浪五人男」「助六」と並んで最もよく知られているものの一つですが、モデルとなったのは幕末に実在した長唄四世芳村伊三郎の実話が講談となりそれを素材に三世瀬川如皐が狂言にしたものです。今回は「見染」「赤間別荘の場」「源氏店の場」が上演されます。ご存知の通り「源氏店」は実在した幕府の御典医岡本玄冶の屋敷があり多くの妾宅があったといわれている「玄冶店」(日本橋人形町)に由来しています。

最初に見たときはお二人とも30代前半で「絵のように美しい」(月並み)と今でも思い出しますが、その40年後のお二人が殆ど変わらない美しさというのは驚異的!です。コロナ禍の上演で孝玉コンビの「桜姫」が大当たりし、結果お二人での組み合わせが1年に何回も観られるようになったのは本当に「嬉しい」の一言です。「見染」の場で客席を木更津の浜辺に見立てて客席に降りる演出が復活したのも嬉しい限り。コロナ禍が遠くなってきたのを感じます。

 18年ぶり孝玉コンビの「切られ与三」ー鳳凰祭四月大歌舞伎

幕間に売店をのぞくと何と「四月歌舞伎限定」の「お富与三郎最中」が。勿論「見染」の場である「木更津」のお菓子屋さん特製です。黒あんと白あんの2種 1個330円(込み)

新緞帳もお披露目。今月は東山魁夷「朝明けの潮」です。

夜の部の2幕目は松緑さんと子息の「左近」さんによる「連獅子」です。舞台上の囃子方から見慣れてしまった黒いマスクが消えました。何とも新鮮な印象を受けます。

「新・陰陽師」もわくわくで週末が待ちきれません。

鳳凰祭四月大歌舞伎は27日千穐楽です。

昼の部11時開演「新・陰陽師」

夜の部 16時開演「与話情浮名横櫛」「連獅子」

お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489(10時~17時)

 18年ぶり孝玉コンビの「切られ与三」ー鳳凰祭四月大歌舞伎