たけちゃん

築地はじめて物語 作:たけちゃん

びゅ~ん。(タイムマシンがむかしの築地に到着する)

博士「ここが1650年代の(江戸時代)の築地じゃ」
坊や「へぇー博士ぇ、今と全然違うねぇ。っていうかここ海だよね」
博士「そうじゃよ。当時の築地は隅田川の河口付近じゃな」
坊や「ねぇ、博士ぇ。あそこで大勢の人たちが埋め立て工事をしているね。ちょっと高性能マイクでみんなの会話を聴いてみようね」

親方「今日もこの付近は荒れとるのう」
熊さん「親方、もう今日の作業はやめましょうよ」
親方「せっかく幕府さまから頂いた貴重な土地だから、もうちょい頑張ってやってみよう」
熊さん「わかりました、親方。ここに土地ができたら立派なお寺を建てましょうね」
親方「もちろんだぁ。浅草の御坊さんが火事で焼けちゃって、新しくお寺を建てる土地を幕府さまにもらったんだけど、それが海の中とはなぁ…」
熊さん「親方ぁ、なにかが海の中を光って漂ってますよ!」
親方「引き上げてみよう。(涙を流しながら)おぉ、なんということだ。稲荷大神の御神体じゃないか」
熊さん「親方ぁ、この御神体を祀る社殿を作りましょう」

(この出来事をそっと見ていた坊やと博士)

坊や「博士、ぼくたち歴史的な瞬間に立ち会えたんだね!」
博士「そうじゃな。こうして築地に波除神社が出来たんじゃな。そしてこの新しく作られた土地は築地と命名されたんじゃな」

 築地はじめて物語 作:たけちゃん

★出演★
親方:佃島の漁師の親分。浄土真宗の門徒。
熊さん:佃島の人気者。浄土真宗の門徒。

※この物語は史実をベースにしていますが、一部作者の想いで脚色をしていますので、歴史に造詣の深い方もご容赦いただけると嬉しいです。ちなみに、築地に建てられたお寺は築地本願寺です。

 築地はじめて物語 作:たけちゃん