New River

来年で創建400年!酒問屋の守護神、新川大神宮で
2024年の「例大祭」が斎行されました!

 

「新川」を起点に特派員活動をしている「New River」です。

去る10月17日、新川大神宮中央区新川一丁目8番17号)で2024年の「例大祭」斎行されました。10月17日は、新川大神宮神嘗祭(かんなめさい)に合わせ、昭和27年(1952)に再建された日にあたります。

今年も、その年に収穫された新しい穀物(初穂)を天照大御神(あまてらすおおみかみ)に捧げ、その恵みに感謝する「神嘗祭」の日に「例大祭」(式典・直会)執り行われました。

ということで、今回のブログは新川大神宮「例大祭」の様子をお伝えしたいと思います。

 

新川大神宮の歴史(「例大祭」の由来)

新川大神宮の歴史(「例大祭」の由来) 来年で創建400年!酒問屋の守護神、新川大神宮で
2024年の「例大祭」が斎行されました!

上)普段の新川大神宮はこのような静かな佇まいを見せています。下)その境内にある清酒積樽。来年、新川大神宮創建400年を迎えるにあたって、今秋、リニューアルされました。

 

まずは、新川大神宮の歴史と「例大祭」の由来です。

新川大神宮は、慶光院・周清上人(けいこういん・しゅせいしょうにん)が、寛永2年(1625)に江戸幕府第二代将軍・徳川秀忠から江戸代官町(現在の千代田区北の丸公園付近)に屋敷を賜り、邸内に伊勢神宮(内宮・外宮)の遥拝所(遠く離れた所から神仏を拝む場所)を設けられたのが始まりです。

慶光院は、伊勢国(現在の三重県伊勢市)にあった室町時代創建の尼寺で、周清上人は同院の第五世住職にあたり、その在職期間には、江戸幕府から伊勢神宮遷宮にかかわる朱印状が下され、伊勢神宮別当寺として府との関係性が深まっていました。

その後、新川大神宮は、明暦の大火(明暦3年(1657))で消失し、当地・霊岸島に遷座、社殿を造営し、以来、360年以上を経た現在まで、この地の産土神(うぶすながみ)であるとともに、この地に集積していた酒問屋の守護神として崇敬を集め、来年で創建400年となります!

この間、昭和20年(1945)3月9日の東京大空襲により再び社殿を失い、その後、新川も戦災焦土で埋め立てられましたが、昭和27年(1952)、酒問屋の有志が社殿の再建を発起し、伊勢神宮で最も重要なお祭りである「神嘗祭」の日に合わせ、同年10月17日に竣工・遷宮の運びとなり、「例大祭」執り行われて今日に至っています。

以来、この日に富岡八幡宮江東区富岡一丁目20番3号)より祭主様をお迎えし、「例大祭」が開催され、酒類業界をはじめとする崇敬者の皆様の商売繁盛・家内安全・健康長寿などが祈願されています。

※ 新川大神宮の宮司は、富岡八幡宮が兼務しています。

「例大祭」(式典)

「例大祭」(式典) 来年で創建400年!酒問屋の守護神、新川大神宮で
2024年の「例大祭」が斎行されました!

左上)奉納品を並べて式典の準備をされる皆様。右上)参道脇には玉串拝礼で使用する玉串もセットされ、準備が整いました。

左下)本殿にはたくさんの日本酒が奉納されました。右下)式典の後の直会(なおらい)で供される料理が搬入されます。

 

それでは、「例大祭」についてです。まずは式典です。

式典は、富岡八幡宮より祭主様をお迎えし、午前11時から開始されました。

最初に、新川大神宮の歴史と「例大祭」の説明があり、「神嘗祭」が今まさに伊勢神宮執り行われているお話もありました。今年はお米の不作などで米価が上がっていることもあったので、改めて豊作をお願いしました。

祝詞が奏上され、巫女による鈴舞も奉納されました。その後、参拝者全員が玉串拝礼を行い、式典はつつがなく一時間ほどで終了しました。

 

 来年で創建400年!酒問屋の守護神、新川大神宮で
2024年の「例大祭」が斎行されました!

玉串拝礼の様子。雅楽が演奏される中、榊(さかき)の小枝に紙垂(しで)が付けられた玉串を心を込めてお供えしました。

「例大祭」(直会)

「例大祭」(直会) 来年で創建400年!酒問屋の守護神、新川大神宮で
2024年の「例大祭」が斎行されました!

主催者としてご挨拶される、新川大神宮・筆頭宮総代(株)加島屋・廣岡孝治社長

※ 以下は過去の加島屋さんに関する「New River」のブログです。

 ・ 酒問屋のまち「新川」について ~加島屋社長に聞く~(2023/4/27)

 ・ 加島屋社長と2023年を振り返る! ~12月27日には「樽酒祭」も開催!~(2023/12/22)

 

新川大神宮での式典が終わると、今度はお隣の酒フーズ健康保険組合さんのビルに移動し、直会が始まります。

直会とは、お祭りの終了後に神様にお供えした御神酒や供物を、神職参拝者でいただくことをいいます。直会では、神様と同じものを口にすることで親密さを高め、神様と一体となり、より多くの御加護や活力を得ることができると考えられています。

階段で5階に上がり、会場で酒器を受け取り、神様にお供えした御神酒神職参拝者で分け合って乾杯する「神酒拝戴(しんしゅはいたい)」という儀式で直会がスタートしました。

その後、主催者・来賓の皆様のご挨拶があり、しばらく歓談した後、お待ちかねの「新川締め」の時間となりました。

「新川締め」とは「三本締め」「一本締め」などと同様の手締めの一種です。 江戸時代から現在まで酒問屋に伝わる伝統的な手締めで、商談成立や新年初売りなどの行事の際に行われてきました。 

打ち方は、例えば「一本締め」は「三・三・三・一」という手拍子となりますが、「新川締め」は別名「七・五・三締め」とも呼ばれる特徴的な手締めとなっています。会場に「拍子書」が掲示されていたので、写真撮影しました(右下の写真)。

「新川締め」は二人一組で行われ、掛け声と手拍子で盛り上がる中、朱盃に注がれた神酒をいただくのですが、最後のゴハン  ジョ    ヲー  ヲー  の掛け声が終わると同時に盃を空けることが求められます。二人の呼吸が合わずにタイミングがずれれば、罰盃として「再挑戦」しなければなりません…。

司会者から二人ずつお名前が呼ばれ、主催者・来賓の皆様、酒販組合・酒造メーカー・酒問屋さんが次々に個性あふれるパフォーマンスを披露され、直会の場は大いに盛り上がり、午後1時半ごろお開きになりました。

「新川締め」詳細は、新川大神宮ホームページの同説明(動画あり)をご覧ください。

 

 来年で創建400年!酒問屋の守護神、新川大神宮で
2024年の「例大祭」が斎行されました!

東京都卸売酒販組合・副理事長(株)岡永・飯田永介社長(株)加島屋・廣岡孝治社長「新川締め」ツーショット! さて、お二人の呼吸はどうだったでしょうか…。

※ 以下は過去の岡永さんに関する「New River」のブログです。

 ・ 明治17年、日本橋馬喰町で創業、「日本名門酒会」(株)岡永 飯田社長にインタビュー ~良い酒を佳い人に~(2024/4/25)

今年も「樽酒祭」が開催されます!

今年も「樽酒祭」が開催されます! 来年で創建400年!酒問屋の守護神、新川大神宮で
2024年の「例大祭」が斎行されました!

 

今年も12月27日(金)に「新川大神宮 樽酒祭」(写真は昨年のポスター)が開催されます。仕事納め、年越し用の「下り酒」の樽酒量り売りを復活させようと、令和元年(2019)に始まった、江戸時代以来の新川の風物詩です。

出展される樽酒は、江戸時代に灘や伏見で造られ、江戸に運ばれた「下り酒」(境内に奉納されている積樽・酒造メーカー18社のうち6銘柄)で、新川大神宮ご祈祷済みの二斗樽での量り売り(全銘柄720ml、税込み2,000円)となる予定です。

皆様、今年の年末はぜひ「新川大神宮 樽酒祭」にお出かけください。

新川大神宮へのアクセスは、こちらをご覧ください。

おわりに

いつもは静かな佇まいの新川大神宮(界隈)も、この日はダークスーツを身にまとった参拝者(約180名)であふれ、これまで見たことがない(よい意味で)ちょっと異様な光景でした。また、直会の盛り上がりもものすごく、酒販組合・酒造メーカー・酒問屋さんなど、酒造業界の皆様圧倒的なパワーに驚きを隠せませんでした。

中央区観光協会特派員としてブログを書くようになって1年半、これまで「新川」を起点に微力ながら「中央区」の魅力を発信できるよう努めてまいりました。そして、今回「例大祭」に初めて参拝する機会をいただき、廣岡社長には改めて感謝申し上げます。ありがとうございました!

 

【主な参考文献・資料など】

新川大神宮ホームページ

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』(慶光院)

・東京酒問屋統制商業組合編「東京酒問屋沿革史」1943年

・醸造産業新聞社「酒販ニュース」2023年6月1日/第2159号