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NHK大河ドラマ「べらぼう」 鱗形屋はどこにあった?

NHK大河ドラマ「べらぼう」に出てくる日本橋の地本問屋、鱗形屋孫兵衛。ドラマでは片岡愛之助さんが演じています。
鱗形屋は、店名を「鶴林(鱗)堂」と号し、万治年間(1658~1661)に出版事業を始めたといわれ、孫兵衛は三代目にあたります。江戸生まれの地本問屋の草分けで、安永4年(1775)、黄表紙の第一号といわれる恋川春町/作・画の『金々先生栄華夢』を刊行しています。
また、鱗形屋が安永3年(1774)に刊行した吉原細見『細見嗚呼御江戸』では、「改取次」として蔦屋重三郎(蔦重)の名が記録上初めて登場します。蔦重の板元としての修業の第一歩は鱗形屋とともに始まったと考えられています。
蔦重との縁の深かった鱗形屋ですが、店はどこにあったのでしょうか。

 NHK大河ドラマ「べらぼう」 鱗形屋はどこにあった?

上の絵は、恋川春町の『三升増鱗祖』(みますますうろこのはじめ)に描かれた鱗形屋の店先です。大伝馬町三丁目(通旅籠町)にあった立派な大店ですが、注目は右に描かれた神社で、「正一位池州稲荷大明神」の名前が確認できます。

この「池州稲荷大明神」、現在も日本橋堀留町2丁目に「池州神社」が残っています。江戸時代の地図では、池州神社は日光街道本通りの一本南東の大丸新道沿いにあり、その隣が鱗形屋だったと考えられます。

 NHK大河ドラマ「べらぼう」 鱗形屋はどこにあった?

現在地図に当てはめてみると、鱗形屋の位置は下の地図の場所になります。

 NHK大河ドラマ「べらぼう」 鱗形屋はどこにあった?

鱗形屋は安永 6年(1777)、「重板本賣弘引請の廉」で処罰を受け、経営破綻に追い込まれました。
NHKドラマ「べらぼう」でも鱗形屋がとうとう店をたたむことになりました。

下の絵は、安永6年(1777)に刊行された朋誠堂喜三二/作、恋川春町/画の『桃太郎後日噺』に出てくる鱗形屋孫兵衛です。裃を着た孫兵衛が「東西、東西」と口上を述べている姿です。

 NHK大河ドラマ「べらぼう」 鱗形屋はどこにあった?

以上、池州神社と鱗形屋はどこにあったか?でした。
次週の「べらぼう」ではついに鱗形屋が退場となります。
どのような展開で話が進むのか楽しみです。