三井本館、「東洋一の大金庫」と旧社長室を特別見学【東京建築祭2025】

旧三井財閥の本拠だった、三井本館のガイド付きツアーに行ってきました。「東洋一の大金庫」と旧社長室など、普段入ることのできないエリアを特別に見学できるツアーです。
今の三井本館は、旧三井本館が関東大震災で被災したため、関東大震災の2倍に相当する地震に耐えられるように、1929年(昭和4年)に作られました。総事業費2131万円(現在の約1000億円)。
イタリア産大理石で作られたドーリア式オーダー円柱群と、4階相当の吹き抜けの大空間が広がる内部1階。三井住友信託銀行が営業中。仕切られた奥の暗い空間は三井住友銀行(ツアーの公開対象外エリア)。同じフロアに2つの金融機関が存在するのも珍しいとのこと。
天井は、すりガラス越しに外光が取り入れられるようになっています。5階部分は、マンダリンオリエンタルホテルの宴会場部分、7階部分は三井記念美術館になっているとのこと・・
国指定重要文化財、東洋一の大金庫

まずは地下へ。中央区観光検定受験者の皆様にはお馴染みの、米国モスラー社製の大金庫。
重さ約50トンの円形扉、あまりの重さのため日本橋の通行が不可とされ、水路で、新常盤橋から上陸されたそうです。
内部にお客様の貸金庫があるため、今も現役、9時から15時まで毎日開け閉めをしています。ちなみに、隣の三井住友銀行の金庫は銀行そのものの金庫のため日常的に開け閉めはしていないそうです・・
金庫の奥は富士山に向かっているとのこと。江戸時代に駿河町と呼ばれていたこの辺りを思わせますね。

扉を横から撮った写真です。厚さは55センチの分厚さです。表側のハンドルを回すと、この突起が盛り上がって、扉をロックできるようになります。
普段入ることのできない旧社長室も(現在は部長室)

続いて、当時は、社長の決裁を役員たちが待つ部屋だった暖炉室を通って、普段入ることのできない旧社長室へ。「社長の椅子」に座ることもできました。
窓の外は江戸桜通りで、向こう側は三越です。

1932年(昭和7年)、理事長・團琢磨氏が本館玄関前で血盟団員の凶弾に倒れた事件を受けて、社長室には、この隠し扉が作られ、銃が置かれていたそうです・・(今は、水鉄砲が入ってました・・)。
閉じられている時には、どこが隠し扉か、私は気づくことができませんでした・・
この暖炉はレプリカで、この向こう側の暖炉室の暖炉もこの位置にあります(背中合わせのような配置)。建設当時から、暖炉はレプリカだったそうです。

最後に案内してもらった、特別なお客様との取引にのみ使用される接待室には、隣の三井タワーにつながっているだろうと言われている開かずの扉もあり・・・。
コリント式オーダー列柱が壮麗な外観は、東、西、南の面にそれぞれ4つの紋様(レリーフ)があり、三井の12の事業を表しているとのこと。
見応えのある建築物がたくさん見学できる東京建築祭、来年のこの時期も要チェックですね。