「江戸のジャンヌ・ルイーズ」の響き、聞いたことありますか。
その鐘の音は、高く澄んでいました。
その鐘の響きは、ふうわりとあたりを包み込むような温かさがありました。
音の波は、明石町の通りを伝わって、四方に広がっていきます。
「東京建築祭 2025」が5月下旬、都内各所で開催されました。
「建築から、ひとを感じる、まちを知る」とのコンセプトのもと。
5月24日および25日は、ここ明石町のカトリック築地教会も特別公開の会場のひとつでした。
普段、触れることが難しい建物の中に入ったり、解説を聞いたりできる、素敵な時間を楽しめます。
思いがけない言葉を聞きました。
「今日は建築祭ですから、12時になると12回、鐘を鳴らします」
そして鐘の音が
「江戸のジャンヌ・ルイーズ」と名付けられた銅製洋鐘。
鋳造されたのは1876年(明治9年)のことです。
およそ150年前に造られた鐘なのですね。
フランスのレンヌで造られ、日本へ送られました。
そして、震災や戦災を乗り越えて、今日へ至ります。
緑青で覆われた銅鐘は、その年月を物語るかのように、表面に剥がれや変色も見えました。
内部は黒く塗り固められており、本体は思った以上に薄手に造られていました。
果たして、どんな音が出るのでしょうか。
心配はいりませんでした。
和らかな透き通った音は、心を落ち着かせてくれるものでした。
東京で一番古い、カトリック築地教会
受付で、カトリック築地教会のカードと案内チラシをいただきました。
東京建築祭のカードの裏面には、二次元コードが3つ記されていました。
オーディオガイドと、パンフレットマップと、アンケートです。
スマホで読み取る、使い勝手の良いまとめ方がされていました。
カードは他の特別公開会場でも配布されており、それぞれの建築概要を知るだけでなく、全てのカードを手に入れたくなる誘惑に駆られます。
1874年(明治7年)に築地外国人居留地に建てられた教会は、関東大震災で倒壊します。
1927年(昭和2年)に、ギリシャ神殿風に再建されます。
ドーリア式の6本の柱。
木造建築なのですが、堂々とした石造りにしか見えません。
切妻の壁には、ユリとバラの花が漆喰で飾られています。
先ほどいただいた案内チラシから、このユリとバラは、聖ヨハネとマリアを象徴しているということを知りました。
聖堂の中は、青と薄緑色を主体としたステンドグラスが落ち着いた空気感を醸し出しています。
ステンドグラスというと、赤色系が中心に来るイメージがあるのですが、白色の壁面・柱に青色系の光も美しく映えるものです。
長椅子に着座すると、心のざわめきが静まっていくようです。
祭壇、祈りの場。
特別公開の機会に、建物の装飾をしっかり見ることができました。
走り回るいたずら天使
「今でも鐘を鳴らすことはあるのですか。」
「重要なミサや、結婚式などで鳴らします。
それから、幼稚園の帰りに子供さんが鳴らしていくこともあるんですよ。」
ええっ。なんと。区民有形文化財を・・。子供たちが。
でも子供たちは、みんな天使だから・・。
天使が鐘を鳴らすのは、仕方ないですよね。
ふうっ。