ぼくの自由研究。住吉神社例祭。
ぼくは、佃1丁目1番にある住吉神社に行ってきた。
8月6日・7日に住吉神社の例祭が行われた。
夏休みの自由研究「中央区の文化を探る」の資料集めのためだった。
神社の石鳥居の先に、例祭に合わせて錦の幟が左右に立てられていた。
特別の行事が行われるという、普段と違う雰囲気を出していた。
明治維新の時に新政府軍が押し立てた「錦の御旗」って、こんな感じだったのかなって思った。
浜風にたなびいて、新しいことが起こるような期待が湧いてきた。
6日は大祭式。
11時に「神楽殿」で雅楽が奏でられた。
笛、太鼓、大鼓(おおつづみ)。
煌びやかな時代衣装。
雅楽器の音色はシンプルだけど、心が静まる気がした。
社殿では白装束の神主さんの先導で、和服、法被や正装をした氏子さん達が大祭式に臨んでいた。
板蔀(いたしとみ)を外してあるので、拝殿がいつもより広く見えた。
※ 佃公園の堀の欄干に描かれた例大祭のデザイン
パパに「例祭があるから、住吉神社に行こう。」と誘ったら、「今年は陰祭だから、宮神輿の巡幸も大幟の掲揚もないんだよ。」という。
きっと外は暑いから、出かけたくないだけなんだ。
今年が陰祭だということくらい、百も承知している。
3年に1度行われる例大祭(本祭り)は来年。令和8年に斎行予定だ。
でも、陰祭ならではの見どころを、ぼくは知っている。
「佃まちかど展示館」には、佃祭りのハイライトを彩る千貫神輿と獅子頭が展示されている。
祭りの香りを、ぎゅっと凝縮してあるスポットだ。
普段は閉まっているけど、祭りの期間はオープンしているので、じっくり観察することができるんだ。
夜にはライトアップするんだよ。
獅子頭は、日光による漆の劣化などを防ぐために、通常はパネルで展示している。
陰祭の時期は実物展示になるんだ。
黒駒(くろこま)
これが「黒駒」の獅子頭だよ。
寄木造りで、黒漆が塗られている。
頭に角があるのが雄獅子、頭に宝珠があるのが雌獅子。
渦を巻いた眉毛やあご髭が金泥(きんでい)で描かれている。
じっと見ていると、渦巻きが目に見えてきて、なんともかわいらしく思えた。
獅子頭の後ろにある毛が植えられた笏の形の板は、「ケン」という依り代の役目を果たすものなんだって。
龍虎(りゅうとら)
これが「龍虎」の獅子頭。
頭に二本の角を持つ「龍頭」。後ろに木製の「ケン」があった。
スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治したとき、その尻尾からアメノムラクモノツルギ(草なぎの剣)が出てきたという神話がある。きっと、龍と剣とは関係が深いものだんだろう。
大きな耳を立てているのが「虎頭」。後ろには曲線状の「しっぽ」に見えるものがあった。
こんな言い伝えがあるんだ。
江戸時代大火に襲われたとき、龍は水を吐き、虎は砂を吐いて火を押さえ、街を救ったんだって。
龍と虎なのに、獅子頭とはこれ如何になんだけれど、スーパー獅子頭だね。
千貫神輿(せんがんみこし)
そして、住吉神社神輿。
神輿のてっぺんに大きな鳳凰が宿る。
四方にも一羽ずつ小型の鳳凰を配置する構図は、カッコ良すぎる。
その大きさと重量から千貫神輿と言われている。
一貫は約3.75㎏だから、千貫は約3,750㎏。
担ぎ棒を渡して、約4tか。
まあ、千貫は「とても重いよ」という意味合いなんだろうけど。
街を巡幸する姿は、絶対的な祭りの華だよね。
祭りの獅子達
この時期、他の収蔵庫に納められている獅子頭も展示される。
区民無形民俗文化財に指定されている行事が、「住吉神社大祭の獅子頭宮出し」
神輿巡幸の邪気を払うために担ぎ出されるんだけど、獅子頭の鼻先を早くつかむと縁起がいいといって、揃いの衣装の若衆が猛ダッシュしてくるんだ。
子供はなかなか近づけないけど、今、こうして真近に見ていると、獅子の威厳も優しさも伝わってくる。
7日には、神楽が奉納される。
ねっ、陰祭だからこその楽しみ方もあるって事、伝わったかな。
街の中に祭り提灯が飾られ、風鈴も揺れている。
店先には簾がかかり日差しを防いでいる。
夏休みはまだ半分残っている。
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