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2026 大名庭園に映える高貴な薄紫色の優美な彩り

 2026 大名庭園に映える高貴な薄紫色の優美な彩り

 フジ(藤)は、広義にはマメ科フジ属の蔓性落葉低木の総称ですが、狭義には、日本固有種の一つ「ノダフジ」を指すとされます。   日本固有種には、茎が上から見て右巻きで、大阪の野田が名所だったので「ノダフジ」と呼ばれる種と、左巻きの「ヤマフジ」があり、春から夏にかけ、二つの季節に跨って咲くため「二季草(フタキグサ)」の異名を持ちます。                    蔓性の枝を藤棚に這わせ、簪のように垂れ下がる花房を観賞する「藤棚仕立て」は、優美な空間をつくりだし、風に靡いて揺れる様は波に譬えて「藤波」と表現され、文学、絵画、演劇作品に登場し彩りを添え、日本文化の中に根付いてきました。         また丈夫な蔓は椅子や籠など家具や民具に、繊維は衣服(藤織り/藤布)にも利用され、日本人の暮らしに深く関わってきました。   浜離宮恩賜庭園内には、延遼館跡、潮入の池 お伝い橋/小の字島などに藤棚が設えられ、大半がヤマフジと聞き及びますが、お伝い橋北端の藤棚には、ノダフジ系の黒龍藤の突然変異とされ、雄蕊の弁化が著しく、蕾は濃紫色で開花が進むにつれ花色は淡くなりグラデーション豊かで、ブドウ房似の玉咲き(抱え咲き)の花房が独特の形状の「八重黒龍藤」(別名牡丹藤)が植栽されています。            藤は、寿命が長く繁殖力が強く、家紋として好まれ、名門藤原氏と縁の深い「下がり藤」は伝統と格式を誇り、浄土真宗本願寺派本山「西本願寺」の寺紋ともなっており、2024年度に発行された新五千円札の裏面の図柄には、基調となっている紫の色合いと馴染むことから、藤の花が採用されています。