~芸術文化の発信地<TODA BUILDING>(京橋)~
パブリックアートプログラム第2弾「APK PUBLIC Vol.2」開催(2026年6月1日(月)~2027年11月30日(火))
京橋の「TODA BUILDING」1階エントランスや広場、2階回廊で展開するパブリックアートプログラムの第2弾、「APK PUBLIC Vol.2」開催中。「未完の都市:The Becoming City」をコンセプトに、3名のアーティストによる作品を展示。
APK PUBLIC Vol.2 「未完の都市:The Becoming City」
「APK PUBLIC」は、新進アーティストやキュレーターによる都市の風景を担う大規模な作品発表の場として、「TODA BUILDING」の共用空間を活用し、更新性のあるパブリックアートを展開するプログラムです。来街者やオフィスワーカーが日常的に作品のある空間を体感し、クリエイティビティが刺激されることで、視野の拡張をもたらし日々の生き方や働き方を豊かにしていくことを目指します。
Vol.2では、2026年6月1日(月)から2027年11月30日(火)までの約1年半、キュレーターに藪前知子氏(東京都現代美術館 学芸員)を迎え、「未完の都市:The Becoming City」 をコンセプトに、手塚愛子氏、藤倉麻子氏、渡辺志桜里氏の3名のアーティストによる作品を展示しています。
手塚愛子氏 《生きるものを容れるもの(戸田建設史からのスタディ)》
「TODA BUILDING」1階エントランスに入ると、記事冒頭の写真の作品が目に飛び込んできます。東大寺の大仏開眼に用いられた祭祀服をモチーフとした作品がエントランスの空間を包み込んでおり、その空間に複数の作品が展示されています。
上の作品は、「マーシャル諸島の海図にヒントを得た、場所の関係を身体感覚によって捉える地図」<キュレーターによる作品解説より抜粋>。
ミクロネシアのマーシャル諸島では椰子の葉の枝柄に穴のあいた小石や貝殻をくくりつけた「スティックチャート」と呼ばれる海図が19世紀から20世紀初頭まで島々の住民に伝えられ、実際に使用されていました。小石や貝殻は島や環礁を意味し、椰子の枝柄は地図の骨組みであるとともに、海流やうねりの方向を示しているのです。(出典「日本水路協会」)
(スティックチャート、出典「日本水路協会」)
上の画像の新作も展示されています。古地図(左側中段)や戸田建設の歴史(右側上段は戸田建設の旧ロゴ、右側中段は建物図面)、近代都市東京の造成風景(上段と下段)などが織り重なります。そこに記されたカラフルな爪のイメージは、そこに生きる個人の日々の営みを暗示しています。
<以下、キュレーターによる作品解説より抜粋>
「手塚がエントランスに出現させるのは、解体と構築を繰り返してきた近代都市の歴史が、多層的に体感される空間です。マーシャル諸島の海図にヒントを得た、場所の関係を身体感覚によって捉える地図や、近代織物史などを織り込んだ万博にまつわる作品。これらとともに展示される新作の西陣織は、江戸末期から現在に至る東京の中心部、戸田建設本社周辺も含む土地の記憶を、新陳代謝を繰り返す身体的な想像力とともに浮かび上がらせる作品です。東大寺の大仏開眼という国家儀礼に用いられた祭祀服が包む空間に、古地図や戸田建設の歴史、近代都市東京の造成風景などが折り重なります。一方で、作家が道で拾った誰かの買い物メモや装飾された爪のイメージは、そこに生きる個人の日々の営みを暗示します。強固な構造物と柔らかな身体、そのあいだに、幽霊のような存在として都市の輪郭が現れます。」
渡辺志桜里氏 《Stock》《地霊》
エスカレーターで2階に上がると、2階回廊に、上の画像の作品《Stock》が展示されています。
上段に石、中段に植物、下段に魚が配置されています。魚が泳ぐ水槽の水が石の入っている水槽に流れ、その水がさらに植物の植えられた水槽に流れ、さらに、魚が泳ぐ水槽に水が戻ってきます。このように、水が循環することで、自律的に維持され変化しつづける環境が生み出されています。
<以下、キュレーターによる作品解説より抜粋>
「《Stock》は代表作《サンルーム》を株分けするシリーズで、植物、魚、バクテリア、水の循環によって、自律的に維持され変化しつづける環境が生み出されています。「stock(株式)」と植物の株分けを重ねたこのエコシステムを、渡辺は企業に一定期間貸与するプロジェクトを続けてきました。都市を成立させる経済活動と、人間を超えた環境が接続されることで、価値や所有など、これまで当たり前に考えてきた概念が揺らぎはじめます。」
2階回廊をさらに先に進むと、上の画像の作品《地霊》が展示されています。これは、「甕(かめ)」の展示を見る、というよりも、体感する作品です。
古くは桃山時代、京都西本願寺の能舞台床下に甕は据え置かれおり、現在の能楽堂でも、床下に甕が設置されているところがあるそうです。これは、甕の空洞に共鳴して舞台の音響効果があがるためです。
甕の中や上部にはスピーカーが据えられており、一見ランダムに並べられた甕や上部のスピーカーから、能の足拍子や、人の話し声、笛の音などが反響しあい、神秘的な響きが空間に広がります。
<以下、キュレーターによる作品解説より抜粋>
「本プロジェクトのための新作《地霊》は、音響効果を増幅させるために、古くより能舞台の床下に埋められてきた甕(かめ)から発想されました。これらが並ぶ目に見えない舞台に召喚されるのは、桃太郎が退治した鬼=温羅(うら)や土蜘蛛、隼人など、伝説や伝承に現れる、国の成立に際し圧服させられた存在を伝える声です。鳴り響くのは、邪や魔を退け土地を清める、反閇(へんばい)という呪術に由来する能の足拍子。この音は、抑圧された古層の声を鎮めるのか呼び覚ますのか――。この地で何度も起こってきた地震が破壊と再生の機会をもたらしてきたように、両義的な可能性を持った響きが空間を満たします。」
藤倉麻子氏 《オープンサンライズシティ・プロトコル》
そして屋外に出ると、広場に、藤倉麻子氏の作品《オープンサンライズシティ・プロトコル》が展示されています。
キュレーターによる作品解説には、「スクリーンの前に積み上げられた日干しレンガに座って、私たちは、現実の都市のただなかで、まだ見ぬ都市の夢に触れることになります」との記載があり、「浜ちゃん」は、実際に、スクリーンの前のレンガに座って、約45分のストーリーを鑑賞しました。
架空都市「オープンサンライズ・シティ」をめぐるフィクションで、自分が座っている「日干しレンガ」も、ストーリーに組み込まれています。ネタバレになるので、ここでは、ストーリーについては、これ以上は触れません。
なお、平日は近隣で働く方を含め人通りが多いため、人通りが少なく落ち着いて鑑賞できる、休日に行くことをお勧めします。
<以下、キュレーターによる作品解説より抜粋>
「本作では、都市の造成に関わる現代の東京近郊の風景に、架空都市「オープンサンライズ・シティ」をめぐるフィクションが重ねられます。苛烈化する太陽光を遮りつつ、朝日を最大効率で取り込むことを維持するための、巨大な岩盤に守られた二層構造の世界。そこでは都市自身が、人間とAIの協働によって構築されたOSとして、膨大な時間軸を同時に接続しながら、巨大な意思を持ちそこで起きる出来事を観測し続けています。日干しレンガを積み上げながら、自主的に都市建設へ参加する人々。都市の運用の裂け目を暗示する糸杉や、人間を超えるOSの時間軸に適応してしまった作業員の存在。管理と逸脱が織り合わさった物語の中に、垂直ではなく水平方向へ、脱中心的に拡張し生成する都市の想像力が現れます。スクリーンの前に積み上げられた日干しレンガに座って、私たちは、現実の都市のただなかで、まだ見ぬ都市の夢に触れることになります。人間はなぜ都市空間を必要とするのか、そして、そこでの幸福な生の条件とは何かをおのれに問いかけながら。」
最後に。。。
前回のAPK PUBLIC Vol.1は、2024年11月から今年3月までの約16カ月でしたが、今回のVol.2は、今年6月から来年11月までの約18カ月のロングランとなります。
前回の作品も興味深いものでしたが、今回の作品はさらにメッセージ性が強い、との印象を受けました。「浜ちゃん」は6月1日の展示開始以来、これまで何度もお伺いして作品を拝見しましたが、いまだに、作品に込められたメッセージを読み解けていません。それでも、お伺いする度に、新たな発見がありますので、今後約1年半かけて、じっくりと、作品に込められたメッセージを読み解きたいと思っています。
アクセス、公式ホームページ
●アクセス
https://www.todabuilding.com/access/
●イベント公式ホームページ
https://www.apk.todabuilding.com/program/public-art-program-vol2/
(イベント主催者様に記事の内容をご確認頂き掲載しています)
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