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■中央区歴史逍遥〈10〉日本初のサウナはオリンピックから ~銀座・東京温泉~

 ■中央区歴史逍遥〈10〉日本初のサウナはオリンピックから ~銀座・東京温泉~

 フィンランド風の蒸気浴であるサウナは今ではすっかりお馴染みだが、日本での始まりは銀座で、きっかけはオリンピック大会だった、という。

 本格的なサウナ施設ができたのは、昭和31年(1956)、銀座6丁目にあった「東京温泉」。戦後埋め立てられた、三十間堀跡に建てられた温浴施設であった。

 【上図】今から40年ほど前の銀座6丁目付近で、昭和通りの西側に東京温泉(丸印)がある。【右写真】東京温泉跡。建て替えられて現在はヒューリック銀座ウォールビル

銀座にサウナ誕生

銀座にサウナ誕生 ■中央区歴史逍遥〈10〉日本初のサウナはオリンピックから ~銀座・東京温泉~

【写真】松坂屋屋上から昭和通り方面を見る。中央の円形状がある建物が三十間堀跡に建つ東京温泉
 昭和32年ごろ。京橋図書館蔵

 

 日本におけるサウナ誕生のいきさつが、社団法人日本サウナ協会*発行『SAUNA新聞』第337号(2004年8月15日)に載っている。そこから要約してみたい。

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 昭和26年(1951)、銀座に温浴施設を備えた娯楽施設「東京温泉」が開業した。「都心に温泉場を」が、創業者・許斐氏利(このみ・うじとし)の思いであった。

 許斐氏は昭和31年(1956)のメルボルンオリンピック大会にクレー射撃の日本代表として参加した。外国の選手たちが「蒸し風呂」によく似た施設を愛用しているのを見て、「これだ!」とひらめいた。
 知人に「選手村で見た蒸し風呂に似た施設"サウナ"の構造を観察してアドバイスを願いたい」と頼んだ。帰国後、許斐氏はさっそく「乾式サウナ風呂」を東京温泉内に造った。当時はここにしかなく、おもにクラス別競技のウエート調整用にサウナが使われていた。

 昭和39年(1964)の東京オリンピック大会では、選手の間からサウナを要望する声が高まり、選手村にサウナ施設が造られた。この施設は各国の選手からも好評だった。その後、フィンランド大使館のバックアップなどもあって、サウナは全国的なブームへとなっていく。
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 *現在は「公益社団法人日本サウナ・スパ協会」に改組された。東京温泉は平成5年(1993)に閉店し、多目的ビルに建て替えられた。また、東京駅八重洲地下街の入浴施設は平成19年(2007)に閉店した。(@AM)