【銀座七丁目】 現存する日本最古のビヤホール
「ビヤホールライオン 銀座七丁目店」
みなさん、こんにちは。さわやかな新緑の季節、いかがお過ごしでしょうか。
わが国でもついに世間をとりまく環境に変化がありました。やっと本当の春が来たような気持ちです。
心おきなく仲間とつどって乾杯ができるようになったと言ってもよいかもしれません。
そこで今回はそんな今の気分にぴったりのビヤホールについてお話ししたいと思います。
※新型コロナウイルス感染症の位置づけが、令和5年5月8日に「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる二類相当)」から「五類感染症」へと移行されました。政府が基本的感染対策について一律に対応を求めることはなくなり、個人や事業者の自主的な取り組みを基本とすることになりました。
明治時代に誕生したカフェー
中央区のご当地検定である中央区観光検定(以下、検定)を初めて受検したときに、明治時代に中央区に誕生したカフェーの名前を覚えました。
明治44年(1911)3月に銀座に最初にできたのが「カフェー・プランタン」、8月に「カフェー・ライオン」。検定の公式テキストである『歩いてわかる中央区ものしり百科』に載っているのはここまでですが、同じ年の12月に「カフェー・パウリスタ」も続きます。ビートルズファンである私は「カフェー・パウリスタ」の名前はこどもの頃から知っていました。
ザ・ビートルズのメンバーだったジョン・レノンと「カフェー・パウリスタ」については、こちらの記事をご参照ください。
Cafe Paulista 、`Paulista old、John & Yoko by 銀造氏(2020年8月)
『歩いてわかる中央区ものしり百科』に登場するカフェーの名前はもうひとつあります。それは銀座よりも早い明治43年(1910)の夏に、鎧橋のたもとに開業した「メイゾン鴻乃巣(こうのす)」です。検定では、この「メイゾン鴻乃巣」を正解とする設問でも、前述の三つの銀座のカフェーが選択肢とされていることがあります。まぜこぜにして創業順を問う回もありました。
このうち、設問に「現在の銀座五丁目角にオープンし、女給が料理や酒を運び多くの客を呼び寄せた」とあれば、答えは「カフェー・ライオン」です。忘れた頃にやってくるカフェー問題として、これまでにたびたび出題されているので、検定を受検される方は覚えておいて損はありません。
この「カフェー・ライオン」はやがてビヤホールでおなじみの銀座ライオンへと姿を変えることになります。「カフェー・ライオン」が創業した場所は、現在はGINZA PLACE(銀座プレイス)となり、“ライオン発祥の店”として「ライオン 銀座五丁目店」が営業を続けています。
明治時代に築地精養軒が経営していた「カフェー・ライオン」と銀座ライオンの関係については、こちらのアーカイブに詳しいです。
銀座のカフェー by CAM氏(2015年10月16日)
銀座のカフェー(2)by CAM氏(2015年10月21日)
銀座のカフェー(3)by CAM氏(2015年10月21日)
経営と業態が変わっても、多くの人々に「銀座のライオン」と呼ばれて親しまれてきたことから、銀座ライオンというブランドが誕生したのですね。
ビアホールではなくビヤホール
銀座ライオンの歴史を簡単にふり返ったところで、ここからは株式会社サッポロライオンが運営する銀座ライオンのうち、銀座七丁目のビヤホールライオンに焦点をあわせ、最後に名物メニューをご紹介します。
銀座ライオンビル
6階建てで各階にそれぞれ業態の異なるサッポロライオンの飲食店が入居しています。
銀座ライオンビルに来ました。ここは、大正7年(1918)に開店した「銀座ビヤホール」があった場所です。現在のビルは昭和9年(1934)に建てられたもので、1階にあるビヤホールライオン 銀座七丁目店は現存する日本最古のビヤホールとして知られています。内装は建築当時の雰囲気をそのまま今日に伝えています(トップ画像)。
高さ6メートルの天井と、深みのある色合いのタイルが厳かな趣の重厚な柱。色彩豊かな壁画に囲まれた空間は、ヨーロッパの大聖堂のような佇まいです。
ガラスモザイクによる壁画
初めてすべて日本人の手によって作られたガラスモザイク。窓のない壁面に明るさと空間の広がりをもたらしています。
日本で最初にビヤホールという名称が使われたのは明治32年(1899)にできた「恵比壽ビヤホール」でした。新橋の北詰、今の銀座博品館(当時は帝国博品館勧工場)の向かいにありました。内装を手掛けたのは、のちに日本橋の装飾を担当した妻木頼黄だそうです。そのときのお店もこの目で見てみたかったです。
ホール(hall)の名にふさわしい高天井
黒く煤けているのは、戦後、進駐軍専用のビヤホールだった時代に暖をとるために焚き火をした名残と言われています。
サッポロライオンでは「恵比壽ビヤホール」が開店した8月4日を“ビヤホールの日”として、毎年チェーン各店で終日生ビール半額などのサービスを提供しています。
このあとは、銀座ライオン自慢のビールと、すべてビールに合うように考えられているという名物メニューを一品ずつご紹介していきます。
銀座ライオンの名物メニュー
サッポロ生ビール 黒ラベル 大ジョッキ
一杯目は飲みやすさに定評のあるロングセラーブランドに決まりです。
LIONチキンの唐揚げ 4個
いの一番に注文しました。ビヤホールに来たら、絶対に食べたいものの代表格ですね。2個から注文できます。
ビヤホールの煮込み
居酒屋の煮込みとは違う、まるでビーフステューのようなビヤホールの煮込み。瓶(かめ)に盛られてなんとも奥ゆかしいです。洋風ですがこちらもお箸でいただきます。
ビヤホールソーセージ
ザワークラウトが添えられたソーセージを見ると「ビールの本場に来たんだな」と感じます。お好みによって、チョリソーやソーセージ6種の盛合せもありました。
ヱビス&ヱビス(ハーフ&ハーフ)大ジョッキ
続いては、130年以上愛され続けているヱビスビールのブランドから、ヱビスビールと独特の香ばしさを持つヱビス プレミアムブラックのハーフ&ハーフを。
炒めスパゲティ ナポリタン(スモールサイズ)
喫茶店のナポリタンでもなく、洋食屋のナポリタンでもない、ビヤホールのナポリタン。ビールが進む味です。
銀座 ローストビーフ 和風ソース
銀座ライオン名物の数量限定のローストビーフ。焼き上がりを知らせるアナウンスがホールに響き渡ると、方々のテーブルから一斉に注文が入りました。ソースは和風ソースとグレービーソースから選べます。
これらの名物メニューは一部をのぞいて銀座七丁目店以外のお店でも味わうことができます。全国各地の銀座ライオンにはご当地メニューもあるので、そのお店ならではのメニューを試してみるのもまた楽しいですね。
「天下一の建物に。後世まで残る日本を代表するビヤホールに」
竣工から89年の時を経た銀座ライオンビル。内装のほとんどが当時のままというビヤホールで過ごす時間は格別です。歴史と風格のある建物は、昨年、国の登録有形文化財(建造物)となりました。そのときもこちらのブログで紹介されたので、読者のみなさんも記憶に新しいのではないでしょうか。
登録有形文化財で登録に乾杯! by シンシン氏(2022年4月30日)
店内正面の大型ガラスモザイク壁画
縦2.75メートル、横5.75メートル、約250色ものガラスモザイクが使われています。
ビヤホールライオン 銀座七丁目店はつい先日、「新美の巨人たち」という美術鑑賞をテーマとするテレビ東京の番組で「今日の作品」としてとり上げられました(2023年5月13日放送)。
建築家自らが下絵を描き、国内のガラス職人に制作を依頼した大小12個のガラスモザイクの壁画はまさに芸術作品です。なかでも店内正面の大壁画はビヤホールライオンを象徴する存在となっています。遠くに描かれている煙突のある建物は、かつて恵比寿にあったビール工場です。お店を訪れた際はぜひじっくりと鑑賞なさってください。
店内の様子をもっとご覧になりたい方にはこちらの動画をおすすめします。
創建時の姿や昭和期の雰囲気とともに、今日のにぎわいが伝わってくる臨場感のある素敵な動画です。はじめての方も、ごぶさたの方も、常連の方もきっとお店を訪れたくなることでしょう。
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店舗情報
ビヤホールライオン 銀座七丁目店
https://www.ginzalion.jp/shop/brand/lionginza7/
中央区銀座7-9-20 銀座ライオンビル1階
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サッポロライオン公式アカウント
https://twitter.com/GINZALION_PR
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https://www.ginzalion.jp/