江戸切子の店 華硝

今回、日本橋本町に店舗を構える江戸切子の店 華硝(はなしょう)さんに行ってきました

華硝さんは1946年に東京の亀戸に初代が工房を開設、当初はメーカーの下請でしたが
1990年代、2代目熊倉隆一氏が自身のブランドを立ち上げ、販売を開始しました。その後、高い芸術性と独創性を持つ作品を世に送り出し続けて来ました

中央区との縁としては、そもそも江戸切子自体が日本橋発祥であるという由来があります。
華硝さんにおいても2016年6月に日本橋本町に店舗をオープン、日本橋のお店は販売店という位置付で
亀戸の工房で作られた優れた作品をお客様にお届けする役割を果たしています。
また、接客や江戸切子体験講座を通して、江戸切子文化を発信する拠点としての役割も担っています。

日本橋土産、贈答品として最適なため、お客さんとしては日本人のみならず海外の方も数多く来店されており、日本橋エリアでとても人気のあるお店の1つです

江戸切子とは?

江戸切子とは? 江戸切子の店 華硝

そもそも江戸切子とは何か?というところからお話しすると
一言でいうと薄いガラスに、熟練した職人が細かい紋様を刻んで作り上げる美しい工芸品です。

1834年に現在の日本橋大伝馬町のビードロ屋、加賀屋久兵衛が金剛砂を用いてガラスの表面に彫刻で
紋様を施したのがその始まりと言われており、中央区日本橋とはとても縁の深い工芸品です。

 

華硝さんの大きな特徴としては芸術性の高い独自の紋様等のデザイン性
そして「磨き」という工程において、職人による「手磨き」を徹底している点です

江戸切子自体は華硝さん以外でも通販などで簡単にお求めいただける時代ではあるのですが
大量生産で作られる江戸切子に於いては、化学薬品などを使用した「酸磨き、酸洗い」と言った処理を行って効率的に製造がされます。「酸磨き、酸洗い」によって作られる江戸切子は安価な反面、光沢等が出にくく、クオリティの面では「手磨き」には及ばないというのが通説です

華硝さんに於いては、多大な労力や手間を惜しむことなく「手磨き」を徹底し
美しさ、光沢、きめ細やかさ どれを取っても最上級の江戸切子を世に送り出しています

 


今回、色々な種類の江戸切子を拝見させてもらいましたが、
↓の様に色や紋様の違いによって、一つ一つ全く違いまして、どれもとても芸術性が高く、見ているだけで高揚感が湧いてくる展示でした

 江戸切子の店 華硝

華硝さんの代名詞「米つなぎ」の江戸切子

華硝さんの代名詞「米つなぎ」の江戸切子 江戸切子の店 華硝

華硝さんの転機ともなったのが、代名詞ともいうべきこちらの「米つなぎ」です
2代目の熊倉隆一氏が考案したこちらのデザインは、ガラスに対してお米の粒に見立てたカットを施すことで、華やかさを表現しています

こちらは国内外で非常に高い評価を受け、北海道で開かれたG8洞爺湖サミットでは、華硝さんの米つなぎのワイングラスが各国首脳への贈呈品として採用されました。

このように華硝さんに於いては伝統的な意匠を保ちつつも独自の繊細で美しい紋様を考案し、満足度の高い江戸切子を提供し続けております
そしてその精神は2代目熊倉隆一氏から3代目の熊倉隆行氏に受け継がれ、文化としての江戸切子を日本のみならず世界に向けて発信し続けています

江戸切子の製作手順について教えてもらいました

江戸切子の製作手順について教えてもらいました 江戸切子の店 華硝

江戸切子の製作にかかる6つのステップについて今回お伺いして来ましたのでご紹介いたします(お店で見せてもらえます)


①透明なガラスに色のついているガラスを被せる工程(この写真は透明+青色)
※ガラス自体は外部から仕入調達する


②華硝の職人様が水平、垂直にドラフトの線を引く(このグラスの紋様の設計図のような物)
その後 実際に削る 
※完全にドラフトの線を踏襲する訳ではない
※削りにはグラインダーの様な道具を使用


③外側の色のついているガラスを削る結果、透明なガラスに白い線が浮かび上がる


④更に精度の高い削りの工程を行う
その際には、色々な種類のの刃を適宜適切に使用することで紋様を整えます


⑤削りの工程が完了しました。ここから磨きの工程に入ります
この磨きの工程こそがとても技術や労力を要する工程でして、華硝さんの江戸切子を唯一無二の優れた作品にする秘訣です。妥協なき華硝さんの職人様が卓越した技で磨きを行います


⑥江戸切子の「磨き」の工程が完了して、作品が出来上がります


私自身、説明してもらうまでは全く知らなかったのですが
大変な手間と、技術がかけられているということが今回分かりました。

華硝さんは江戸切子文化の裾野拡大などに大変積極的でして、今回伺った際にもこのように色々と丁寧に説明いただきました。

また、日本橋の店舗内においては(事前予約制とはなりますが)江戸切子体験講座を用意しておりました。
↓のような設備も整っておりました、興味ある方はチャレンジしてみてもよいかもしれません。

 江戸切子の店 華硝

アクセスも抜群!日本橋散策に最適です

アクセスも抜群!日本橋散策に最適です 江戸切子の店 華硝

2025年の大河ドラマで取り上げられる江戸時代の版元蔦屋重三郎の耕書堂跡地もここから歩いて直ぐの場所です。江戸切子はとても相性の良いアイテムですね。
蔦屋重三郎ゆかりの地を散策するついでに寄ってみるのも良いんじゃないでしょうか

【店舗情報】
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3丁目6−5
03-6661-2781
定休日:日曜日

公式サイトはこちらから

 江戸切子の店 華硝

 

華硝さんのお店はとても清潔感があり美術館にいるような気分になります

是非日本橋本町にお立ち寄りの際はお越しください