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べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 42
  ~ 曲亭馬琴 ~

リモートで、愛する中央区をナビゲートします、rosemary  sea  です。

 

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」第40話、独裁政治に突き進む松平定信さん、意固地になっていませんか?

間接的に、宿屋飯盛さんまで江戸払いとなってしまいました。

それにしても蔦重さんの、エクセレントを求めるスピリット、かなりのものです。美人大首絵を依頼した歌麿さんに細かいダメ出しを繰り返します。

しかしそこで歌麿さん、小道具を持ち出すヒントを得て、「ポッピンを吹く女(娘)【ビードロを吹く女、とも】」に行き着くことに。

 

40話での登場人物は、

シリーズ29蔦重、シリーズ23喜多川歌麿、シリーズ25てい、シリーズ27つよ、シリーズ⑥長谷川平蔵、シリーズ⑫勝川春草、勝川春朗(のちの葛飾北斎:次回ご紹介)、シリーズ③北尾重政、シリーズ⑬北尾重演(山東京伝)、滝沢琑吉(のちの曲亭馬琴:今回ご紹介)、シリーズ39宿屋飯盛、太輔(のちの式亭三馬:これからご紹介)、そしてシリーズ⑧鶴屋喜右衛門、そしてそしてシリーズ⑤須原屋市兵衛。

 

今回は「曲亭馬琴(きょくていばきん)」、滝沢瑣吉(たきざわさきち)からの曲亭馬琴、ロズマリの大好きな『南総里見八犬伝』を永年かけて著した大先生です。日本初の「職業作家」であります先生、崇拝していますので「馬琴先生」と呼ばせていただきます。

「べらぼう・・・」での登場は今回の40話が初めてです。最初は滝沢瑣吉という名前です。

馬琴先生は「滝沢馬琴先生」と呼ばれるのが大嫌いであった、と伝わっています。実の苗字は作家としては名乗られたくないそうです。それに元武士としての苗字名乗りもNGとしていたようです。

馬琴先生は寛政4年(1792年)、蔦重の手代、つまりは従業員として雇われました。もちろん通油町、現在の日本橋大伝馬町のお店の手代です。

 

なお、冒頭画像は東日本橋2-27-9、初音森(はつねもり)神社、2階右の狛狐です。

足元に可愛い子狐がいますね。母狐でしょうね。

 

曲亭馬琴先生は・・・

曲亭馬琴先生は・・・ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 42
  ~ 曲亭馬琴 ~

画像は同じく初音森神社、2階左の狛狐です。

優しく見守るお父さん狐、ですね。

 

明和4年(1767年) ー 嘉永元年(1848年)

馬琴先生の本名は滝沢興邦(おきくに)。武士の父の跡を継ぎましたが、かんしゃく持ちの主君に耐えかね、武士として仕えることはやめたそうです。

代表作は「鎮西八郎為朝外伝 椿説弓張月(ちんぜいはちろうためともがいでん ちんせつゆみはりづき、ちんぜいゆみはりづき)、「南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)」。

元飯田町中坂(現:千代田区九段北1丁目)の世継稲荷(現:築土神社)で下駄屋、いわゆる履物商の「伊勢屋」に入り婿となりました。

 

文化元年(1804年)から天保13年(1842年)までかけて、あの有名な長編小説「南総里見八犬伝」を書いていました。

なお、蔦重は寛政9年(1797年)に48歳で亡くなっていますから、これは蔦重の存命中の作品ではありません。

 

 べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 42
  ~ 曲亭馬琴 ~

画像は同じく初音森神社、1階右の狛狐です。

2階の狛狐と比べて、とても険しい顔つきです。

 

馬琴先生ではご紹介したいことが多過ぎて、こちらでは書ききれません。

ひとつだけ、晩年のお話をさせていただきます。

 

妻の母、すなわち義母の呪縛から解放された馬琴先生。

天保4年(1833年)、67歳で右目が失明、のちに左目もかすみ出して5年後には細かい字が見えなくなっていました。

大きな字で書き続けていましたが、天保11年、「八犬伝」の177回を書く頃には全盲となりました。

そこで息子・宗伯の嫁のお路に、苦労して字を教えて口述を代筆させるようにしました。

ところが馬琴先生の3つ年上の妻・お百が更年期のせいでお路にジェラシー、ついには別居することに。

そのヒステリーお百も天保12年には先立ちました。

翌天保13年には「八犬伝」の最終部分も刊行され、やっと一息。

98巻106冊180回、版木は何と3千枚以上。

その年の天保の改革には逆らわずおとなしくして、天保14年に水野忠邦が失脚すると他作品の筆を進めました。

嘉永元年(1848年)、胸痛と喘息を患って馬琴先生逝去、享年82歳、当時としては長命だと思います。

 

・・・ロズマリは「八犬伝」の序盤「芳流閣(ほうりゅうかく)の決闘」の下りが好きです。

犬塚信乃と犬飼現八が対峙する場面、エクセレントです。

 

参考文献 新潮古典文学アルバム23「滝沢馬琴」 編集・執筆:徳田武 エッセイ:森田誠吾 新潮社刊

     図説 日本の古典19「曲亭馬琴」 著者代表:水野稔 集英社刊

 

「べらぼう・・・」での曲亭馬琴先生は・・・

「べらぼう・・・」での曲亭馬琴先生は・・・ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 42
  ~ 曲亭馬琴 ~

画像は同じく初音森神社、1階左の狛狐です。

こちらを睨んでいます。

 

津田健次郎さんが演じています。ロズマリとは「おおー明治」繋がり。

TBS「西園寺さんは家事をしない」の横井和人さん役、すばらしかったです。

 

滝沢琑吉、のちの曲亭馬琴

~ 江戸の大ベストセラー『南総里見八犬伝』を書いた、異才の戯作者 ~

北尾政演(山東京伝:古川雄大さん)の紹介で、しばらくの間、蔦重(横浜流星さん)の耕書堂に手代として世話になることに。

そこで働く傍ら、戯作者として黄表紙の執筆を始める。

蔦重は新たな才能を競わせようと、勝川春朗(かつかわしゅんろう:くっきー!さん)とのコンビを組ませるが・・・。

史実では、28年もの歳月を費やして伝奇小説『南総里見八犬伝』を完成させ、その愛読者は近代にまで及ぶ。

ー NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ホームページ より ー

 

余談ですが・・・

「べらぼう・・・」の中でしばしば口にされる「忘八(ぼうはち※)」は、曲亭馬琴先生が書いた「南総里見八犬伝」に出てまいります八犬士がそれぞれ持つ玉「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌(じんぎれいちちゅうしんこうてい)」とリンクします。

※ 「忘八」とは・・・

儒教の8つの教え、仁義礼智忠信孝悌を守らない者、道徳を忘れた者。

転じて「遊郭に出入りする者」を指します。

「べらぼう・・・」では主に「遊郭の主人などが道徳を忘れた振る舞いをすること」を指して言っているようです。

 

 べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 42
  ~ 曲亭馬琴 ~

画像は同じく初音森神社、1階の鈴です。

2階の鈴は前回の冒頭画像でご紹介済です。

 

・・・NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、これからも馬琴先生が頻繁に登場することを願います。