浮世絵に描かれた中央区の名所(6)
~「浮絵駿河町呉服屋図」:歌川豊春~
&【三越アーカイブス日本橋】「佐藤玄々と天女像」展示(~3月24日(火))
豊春の絵には、江戸駿河町の呉服店、三井越後屋の店内が描かれています。現在、日本橋三越本館1階中央ホールにおいて、天女像完成65年を記念して、三越アーカイブス日本橋「佐藤玄々と天女像」を展示中です。
「浮絵駿河町呉服屋図」: 歌川豊春
(出典:三重県総合博物館)
この絵は、江戸駿河町の呉服店、三井越後屋の店内を描いたもので、タイトル画像は、現在の日本橋三越本館店内の1階中央ホールの様子です。豊春は、西洋画の透視遠近技法を取り入れた、画面手前の絵が浮いたように見える「浮絵」と呼ばれる画法を得意とし、従来にない斬新な表現として人気を博しました。
三井越後屋は、1673(延宝元)年に、伊勢の商人・三井高利(みついたかとし)が創業した呉服店で、三越百貨店のルーツです。「現金掛け値なし」、「店前売り」、「切り売り」という新商法が江戸の人々の大きな支持を得て大成功し、江戸屈指の大店となりました。これらは、現在では当たり前になっている商法ですが、この呉服店から始まったのです。
高利は、従来の呉服販売の主流は、大名や豪商などの屋敷に出向いて売る訪問販売方式で、代金を年に数回まとめて後払いする、いわゆる「掛け売り」だったため、「掛け値(利子)」が付き高値になっていたことに目をつけました。
正面両側の柱に「現金掛け値なし」のうたい文句が見えます(絵の①)。三井越後屋では、掛け値なしの現金払いで安価に呉服を購入してもらう手法を導入しました。また、従来の訪問販売方式をやめ、店頭に豊富な商品を並べて、正札をつけて定価制による店頭販売(店前売り)としました(絵の②)。更には、従来、呉服は反物1反を単位として販売していたものを、客の要望に合わせて「切り売り」することにより、より安く、気軽に買い物ができるようにしました(絵の③)。天井からは、各売り場の担当店員の名を記したものらしい垂れ幕や、見本の着物が数多く吊るされています(絵の④)。
「百聞は一見にしかず」といいますが、豊春の絵をみると、当時の三井越後屋の新商法を「一見」で知ることができます。
三越アーカイブス日本橋「佐藤玄々と天女像」
日本橋三越本館1階には、90周年となる「中央ホール」があり、高さ約11m(台石除く)の「天女像」が設置されています。三越のお客様に対する基本理念「まごころ」をシンボリックに表現する像として「まごころ像」ともいわれ、日本橋三越本店の象徴ともいえる存在です。
天女像は、前面(左)だけでなく、背面(右)にも美しい装飾が施されています。この像は、約10年の歳月をかけて、1960年に、名匠・佐藤玄々により製作されました。
日本橋三越本館1階中央ホールにおいて、天女像完成65年を記念して、三越アーカイブス日本橋「佐藤玄々と天女像」を展示中です。天女像の詳細な説明や、忠実に描かれた天女像の素描、製作の過程で作られた実際のパーツなど貴重な品が展示されています。
展示されている説明の一部を紹介させて頂きます。天女像をいつもご覧になっている方でも、新たな発見があると思いますので、是非、会場に足をお運び下さい。
①天蓋(てんがい):仏像や住職が座っている上にかざす笠状の装飾具
②瑞鳥(ずいちょう):めでたいことが起こる前兆とされる鳥
③華盤(けばん):玉で作られた皿(玉盤)の上に捧げられた天上界に咲くという霊妙な花(天花)
④彩雲(さいうん):縁起の良い吉兆とされ赤、黄、緑などの色に分かれて虹色に見える雲
(店内の写真のブログ掲載は、三越(総務)の承諾を頂いています)
【過去ブログ、参考資料・出典】
●過去ブログ:
(1)「東海道五拾三次 日本橋 朝之景」:歌川広重 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6517
(2)「名所江戸百景 京橋竹がし」:歌川広重 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6510
(3)「名所江戸百景 するがてふ」:歌川広重 &【イベントのお知らせ】2月15日(日)まで「日本橋イルミネーション~こころ躍るNIHONBASHI」と「カナエルNIHONBASHI2025-26」開催中、残り期間わずかです! https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6519
(4)「名所江戸百景 びくにはし雪中」:歌川広重 &【ショップのご紹介(バレンタインギフトも!)】茨城県のアンテナショップ 「IBARAKI sense(イバラキセンス)」 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6590
(5)「名所江戸百景 日本橋雪晴」:歌川広重 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6594
●参考資料・出典(ホームページ含む):
三重県総合博物館、日本橋三越、
中央区、中央区観光協会、歩いてわかる中央区ものしり百科、Central Tokyo for Tourism(東京中央区オフィシャル観光ガイド)、中央区立図書館、国立国会図書館、東京国立博物館、国立文化財機構、東京都立図書館、東京都立博物館、ColBase、中央区沿革図集、神奈川県伊勢原市、東京建物
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