夏休みの図書館
夏休み。 真っ青な空に、白い雲が湧き上がる。
受験を前にした生徒たちにとって、夏は飛躍の時である。
自分のペースで、集中して学習に向かえる時期なのだから。
夏休みの朝は、空調のきいた図書館の学習コーナーの場所取り競争から始まった。
中央区には区立の図書館が4館ある。
区の北側から、その姿を確認してみよう。
「日本橋図書館」
日本橋人形町1丁目1ー17
東京メトロ日比谷線「人形町」駅A2出口から徒歩3分
日本橋小学校、社会教育会館ホールなどが入る複合施設の6階・7階を占める。
石材を組み合わせたアーチ型の門は、重厚な印象を醸し出している。
館内の座席数、187席。(中央区立図書館のホームページから)
各館が出す館報は、なかなか面白い。
日本橋図書館報は、『来!BuRaRi にほんばし』
ぶらりと来てね。から、ライブラリィの意味につなげている。
日本橋界隈の新しい話題や関連お薦め本がまとめられていて、個人的に楽しく読ませていただいている。
「京橋図書館」
新富1丁目13ー14
東京メトロ日比谷線・JR線「八丁堀」駅A3出口から徒歩1分
複合施設(本の森ちゅうおう)の2階から5階に広がる、都内でも有数の蔵書量を誇る。
令和4年(2022年)12月に開館した新施設に、区立郷土資料館とともに移転してきた。
館内の座席数、501席
6階に屋上庭園がある。
屋上からは、掘割の痕跡が緑の帯のように確認できた。
その先には、隅田川に架かる中央大橋の主塔の白い兜が望めた。
京橋図書館だよりは『本森百景』
館内の企画展示や随時行われる図書イベントなどを、適宜紹介している。
「月島図書館」
月島4丁目1ー1
東京メトロ有楽町線・都営大江戸線「月島」駅10番出口から徒歩1分
月島区民センターの3階に位置する、使い勝手の良い図書館だ。
月島図書館だよりは『MONJA』
人気のもんじゃストリートは、すぐ近くにある。
館内の座席数、116席
街の通りには、うきうきとした気分が満ちていた。
区民センターの前にも、神輿の御旅所が設けられていた。
今日8月10日は、住吉神社の宮神輿巡幸・宮入の日だ。
各町内も、神輿・山車の巡幸が行われる。
街の雰囲気を表わす、神輿の写真を撮らせていただいた。
力水、清めの水が、バケツやホースでざぶざぶ担ぎ手にかけられる。
身体の熱が、ばわっと蒸気になる。
笛が高らかに鳴り響き、担ぎ手の拍子が勢いを増す。
周囲の見物客が、オオッと煽る。
子供たちが、頼もしそうに父親の姿を見つめていた。
そして「晴海図書館」
晴海4丁目8ー1
都営大江戸線「勝どき」駅A5出口から徒歩12分
晴海区民センターの3階・4階を占める。
令和6年(2024年)7月にオープンした。
2020年東京オリンピック選手村ビレッジプラザの跡地に建てられた。
広く設けられた窓を飾る木製スクリーンには、当時使用された木材も織り込まれているという。
館内座席数、280席
晴海図書館報は『みおさらい』
晴海エリアは、東京湾の澪浚(みおさらい)事業によって新たに生まれた埋立地である。
知識の海を開いていくという思いが込められている。
窓から注ぐ夏の光が明るく輝いて、華やかなイベント会場さえ思わせるしつらえ。
カウンター席からは、窓越しに晴海運河ののびやかな景色を眺めることができた。
グループで利用できるブース席・学習席も、新しい図書館のあり方を提示している様である。
図書館のブックテラスから望む晴海運河。
「これ、あなたですか。」
本の見返しの袋に入っている図書カードを示し、女生徒はちょっと怒ったような口ぶりで聞いてきた。
「私が読もうと思った本、どれも先に読まれていました。あなたに!」
その頃の図書館の本は、借りる人の氏名や貸出日を、図書貸出カード(ブックカード)に記入する方法で管理されていた。
カードを見れば、先に誰が借りていたのかを知ることができた。
ジブリのアニメにも、そんな出会いをする少年少女が描かれていた気がする。
「先輩、教えてください。」
「ここ、わかりません。」
試験期間が近づくと、図書館の学習室で、問題の解き方を聞いてきた。
戸惑いはあったが、どれも昨年すでに学習した問題群である。
わかり易いようにと丁寧に解説した。
その下級生は賢い子で、学校の課題などとっくに理解していた。
解き方を説明しているえんぴつの先ではなく、何とか応えようとしている私の表情を、じっと見つめていた。
先輩が心惹かれている人がいる!
えっ、だれ。
女生徒が上級生の教室に乗り込んだという噂を聞いた。
真夏の暑さは、少年少女をみんな物語の主人公にしてしまう。
子供たちが中学生のころである。
受験の話から、ふと、気になっていたことを聞いてみた。
「あのね。中学の時、下級生が教室に訪ねてきた事ってあった?」
妻は少し目を閉じてから、思い当たることがあったのか、微笑みながら、
「あったわよ。」
いたずらっぽく答えた。
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