蛎殻町の松

【伊奈氏シリーズその5】旧小菅御殿(東京都葛飾区)

中央区内には「郡代屋敷跡」という観光ポイントがあります。徳川家康から代官頭に任命された伊奈忠次をはじめとして、その後関東郡代といわれ十二代にわたり世襲したのが伊奈一族です。
今回の伊奈氏ゆかりの地は、「小菅御殿跡」です。東京拘置所の正門横に、説明板があります。記載文の一部を引用します。
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区登録有形文化財「旧小菅御殿石燈籠」
所在地 葛飾区小菅一丁目35番
登録年月日 平成元年(1989)3月20日

現在の東京拘置所一帯は、江戸時代前期に幕府直轄地を支配する関東郡代・伊奈忠治(1592〜1653)の下屋敷が置かれ、将軍鷹狩りや鹿狩りの際の休憩所である御膳所となりました。その後、元文元年(1736)7月、伊奈氏屋敷内に小菅御殿(千住御殿)が建てられました。
寛政4年(1792)小菅御殿は伊奈忠尊の失脚とともに廃止され、跡地は幕府所有地の小菅御囲地となりました。御囲地の一部は、江戸町会所の籾蔵や銭座となり、明治時代に入ると、小菅県庁・小菅煉瓦製造所・小菅監獄が置かれました。 (以下略)

葛飾区教育委員会

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忠治は忠次の次男。忠次と忠治の功績の概要については、国土交通省関東地方整備局のホームページで解説されています。
「小菅御殿」とは、8代将軍徳川吉宗が鷹狩りのときに休憩する場所として作らせた場所です。吉宗の息子で後に9代将軍となる家重はたびたびここを訪れていました。
関東の川やまちをめぐる歴史を振り返ると、数々の土木事業の積み重ねで今の社会が成り立っていることがよくわかります。先人たちの努力に感謝しつつ、未来の関東はどうなっているのかを想像してみたいです。

(過去に書いた伊奈氏シリーズ)
2022年1月17日公開「幕府を支えた伊奈一族に、もっと光を
2022年5月5日公開「関東のインフラ整備に尽力した伊奈氏の拠点を歩く
2022年7月5日公開「伊奈氏シリーズその3】伊奈神社(つくばみらい市)
2022年8月6日公開「【伊奈市シリーズその4】伊奈神社(静岡県小山町)