べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 28
~ 朋誠堂喜三二<平沢常富> ~
リモートで、愛する中央区をナビゲートします、rosemary sea です。
NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」第27話、重みがありましたね。
暗い話題の連鎖、しかしここを乗り切らないとお話の先は見えてきませんね。
特筆すべきはていが夫蔦重に、米の値を下げる建策をお上にしたらどうか、という意見。
「・・・まちからお上に建策、というのは日本橋らしくもありますから。」
今回27話登場は以下の人物がシリーズ関連です。
シリーズ⑱田沼意次、シリーズ26田沼意知、シリーズ⑧鶴屋喜右衛門、シリーズ23喜多川歌麿、シリーズ24松前廣年、シリーズ27つよ、シリーズ25てい。
そして言葉上ではシリーズ⑩平賀源内、シリーズ22土山宗次郎、シリーズ⑮平秩東作。
今回はいよいよ中央区ネタにも手詰まり感が・・・、いえいえ、まだまだ粘ります。一番明るい人物、ご紹介です。
今回はとうとう、ついに「朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)<朋誠堂喜三二平沢常富(ひらさわつねまさ)>」を語ってしまいます。27話には出ていませんが。
以前にも申し上げましたが、朋誠堂喜三二さんにつきましては中央区との直接の縁が見い出せませんでした。
しかし、蔦重との深い仲を考慮しますと、耕書堂のあった通油町(とおりあぶらちょう)、現在の日本橋大伝馬町を訪れることは頻繁にあったはずです。
それに朋誠堂喜三二さん、木挽町狩野家門下の鳥山石燕(せきえん)の弟子である恋川春町(こいかわはるまち)とタッグを組んで仕事をしていました。
繰り返しますが、蔦重の良き相棒的存在です。『友だちの友だちはみな友だち』的な乗りで、中央区に関連付けはぎりぎりセーフとしていただきたいです。よろしくお願いいたします。
なお、冒頭画像は銀座1-5-14、幸稲荷神社です。ご紹介済です。
⇒ 2021年10月22日「ちょっと気になる中央区の神社⑧ ~幸稲荷神社~」
それでは・・・
朋誠堂喜三二<平沢常富>は・・・
画像は銀座33-8-12、朝日稲荷神社です。ご紹介済です。
⇒ 2021年11月16日「ちょっと気になる中央区の神社⑨ ~朝日稲荷神社~」
朋誠堂喜三二
秋田藩士、秋田藩江戸御留守居役。釣りが大好きだったそうです。
「朋誠堂喜三二」の名は「干せど気散じ」をもじったもの、とされています。
「干せど」とは「空腹だけど」ということ。
「気散じ」は「気苦労なし」。
つまりは「武士は食わねど高楊枝」ということです。粋、ですね。
黄表紙を創造した恋川春町(こいかわはるまち)は、それまで12作刊行してもらった鱗形屋(うろこがたや)の廃業の1780年以降、蔦重プロデュースとなりました。
ですが相棒の喜三二ははすでに1777年から鱗形屋と蔦重のダブルで仕事をしていました。
春町と違い、喜三二は絵師ではなく、雨後庵月成(うごあんつきなり)という俳人であり、手柄岡持(てがらおかもち:岡持とは「桶」のこと、釣り好きからのネーム設定)という高名な狂歌師であり、韓長齢(かんちょうれい)という名の狂詩作者でした。
ですから黄表紙を作る際は必ず相棒の絵師を必要としました。最初の頃の相棒が恋川春町。
ただ、洒落本を蔦重刊として初めて出しました、黄表紙でなく。
最初のネームは「道陀楼麻阿(どうだろうまあ)」、ファンキーな名前です。
次は「物からの不あんど」、洒落本で使っていたネームです。
当時の、特定のネットワークの中で仕事を生み出している様子が垣間見えます。
ただ、喜三二も春町同様、鱗形屋には気を遣っていたようです。
鱗形屋廃業まで、「朋誠堂喜三二」のネームは蔦重サイドでは使用しませんでした。
そして鱗形屋ドロップアウト後、春町とともに鱗形屋の黄表紙活動の真髄をそのまま蔦重に伝授していきました。
春町同様、寛政の改革で咎められました。1788年刊「文武二道万石通(ぶんぶにどうまんごくどおし)」、松平定信の文武推進をもじった作品で目をつけられ、秋田藩から止筆を命じられ筆を折りました。
参考文献 別冊太陽 日本のこころ89 「蔦屋重三郎の仕事」 平凡社刊
「べらぼう・・・」での朋誠堂喜三二<平沢常富>は・・・
画像は銀座3-14-15、宝珠稲荷神社です。ご紹介済です。
⇒ 2021年12月28日「ちょっと気になる中央区の神社⑩ ~宝珠稲荷神社~」
尾美(おみ)としのりさんが演じています。
第12話から本格参戦しましたが、最初は『ウォーリーをさがせ』的に吉原各所の画面の隅に出没しましたね。エキストラ・ロズマリとしては親近感を覚えます。
18話でもなかなかユニークな立ち回りでしたね。
朋誠堂喜三二<平沢常富>
~ 江戸在住の“外交官”であり当代一の“覆面”戯作者 ~
出羽国久保田藩(秋田藩)の藩士で、江戸城の留守居(いまでいう外交官)を務める。
役職柄、情報交換の場として吉原に出入りすることが多く、「宝暦の色男」の異名をもつ。
一方で、奇想天外な大人の童話、歌舞伎の筋書きをもじったパロディーなど洒落、滑稽、ナンセンスを盛り込んだ戯作を数多く発表し、また手柄岡持(てがらのおかもち)という名で狂歌も発表。
流行作家として一時代を築く。
のちに蔦重(横浜流星さん)にとって最高かつ最大の協力者となる戯作者。
ー NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ホームページ より ー
画像は銀座3-6-1松屋銀座本店屋上、龍光不動尊です。ご紹介済です。
⇒ 2022年1月1日「ちょっと気になる中央区の神社⑪ 屋上シリーズ① ~龍光不動尊~」
・・・NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、今後も粘りに粘って中央区ネタを見い出します。
次回予告です
7月20日(日)は「べらぼう・・・」の放送がありません。
参議院議員選挙開票速報の放送に替わられるため、とのことです。
そこで次週は「蔦屋重三郎」自体をご紹介するつもりです。
蔦重は主役であるため多く語ることはここではしませんが、ご期待ください。
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