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2025 次々と花開く盛夏の彩り「槿花一日の栄」

 2025 次々と花開く盛夏の彩り「槿花一日の栄」

 ムクゲ(木槿)は東アジア原産とされるアオイ科フヨウ属の落葉低木で、韓国では国花とされ、南国を象徴するハイビスカスと同属で、寒さに弱い種が多い中、耐寒性があり、強剪定に耐え刈込みし易いため、花数が少ない真夏に優雅な花を咲かせる花木として、庭木や公園樹に広く利用されています。                ムクゲの名の由来に関しては、韓国名の無窮花(ムクンファ)、あるいは中国名の木槿(ムージン)が転訛したとの説が有力とされます。     白、紅、薄紅、赤紫、複色と花色は豊富で、清楚な一重咲き、可愛らしい半八重咲き、華やかな八重咲きと花形も多彩です。     八重咲きは更に、乱れ咲き、菊咲き、鞠咲きと多種多様です。   花冠の中心に雌雄の蕊(シベ)「花蕊(カズイ)」が真っ直ぐ突き出し、柱頭は5裂し、花柱に多数の雄蕊が筒状に連なり付き、一粒一粒の花粉が肉眼でもよく見えます。                                   所謂 "一日花" で、開花後ほぼ一日で萎むとされ、「槿花一日の栄(キンカイチジツノエイ)」と例えられます。  一つ一つの花の命は短いですが、沢山の蕾を付け、木全体では、途切れず比較的長期間咲き続けます。一日で萎んでしまう儚さが、茶道の説く「詫び寂び」「一期一会」に通ずるということで、殊に、一重咲きの白地底紅ムクゲは、千家3代宗旦好みで「宗旦木槿」と呼ばれ、夏の茶席によく飾られています。 佃島渡船場跡 隅田川テラスに植栽されているムクゲが、佃大橋、聖路加ガーデンを背景に夏空に向かって咲き誇っています。