【中央区が気になる界隈】京橋のビルがとても気になっている件。
中央区内を普段何気なく通っている場所でも、そう言えばここってなんだろうと思うことはありませんか?
よくわからないけど、いつも気になっているんだよねーと思う場所が1つでもあると感じた皆さま!少しでも共感して頂いた皆さま!
今日から【中央区が気になる界隈】の仲間入りです。
界隈の一員として、中央区の気になるものを掘り下げていきましょう。
京橋交差点にあるビル、なぜレトロ感のデザインなのでしょうか?
ここは京橋交差点。
周囲には東京スクエアガーデンや京橋エドグランなど現代的デザインのビルが立ち並ぶ中、このビルだけは現代的でありつつ、どこかレトロを感じるデザインなのが印象的です。
なぜこの1棟だけがこのようなデザインなのか。私も「なんでだろうか?」とずっと気になっていた1人です。
何の因果か、11月下旬に私の会社の研修がこのビルで開催されることが判明し、ビルに入る機会が出来てしまいました。
いざ、合法的に潜入です笑
※これよりご紹介する写真画像は全てオープンスペースから撮影したものです。ご安心ください。
このビルの名前は「相互館110タワー」です。
このビルの名称は「相互館110タワー」
現在、第一生命保険株式会社が所有しています。
第一生命保険は現在の丸の内に本社がありますが、1938年(昭和13年)に移転するまではこの地に本社がありました。
簡単に歴史から触れてみます。
1902年(明治35年)に日本初の相互会社(簡単に言うと顧客と社員が一緒の形態のこと)として設立された第一生命保険。1921年(大正10年)、第一生命保険はこの地に本社を移転、それに伴い建てられたのが「第一相互館」でした。建設に携ったのは現在も中央区に本社を構える清水建設です。東京駅丸の内駅舎の建設でも知られる辰野金吾さんが関わった赤レンガ造りの建物は、京橋で一番高いビルでもありました。
また、日本初の「足元商店街付の事務所建築」として、1階に店舗を入居させたビルの先駆けとなりました。
関東大震災、太平洋戦争を乗り越えた「第一相互館」でしたが、1969年(昭和44年)に惜しくも解体されております。
その後1971年(昭和46年)に二代目となる「第一生命相互館」が完成。さらに2012年(平成24年)に三代目となる「相互館110タワー」が完成し、現在に至る流れです。
鍛冶橋通り沿いには「第一相互館」の模型があります。
鍛冶橋通り側を歩くと、ショーケース内にビルの模型が展示されています。このビルこそ、かつてこの地に建っていた「第一相互館」です。辰野金吾さんが建築に関わっていただけあり、東京駅丸の内駅舎にも通ずるデザインを感じ取ることが出来ます。
模型の隣には「第一相互館」の説明板が設置されています。
隣のショーケースには「第一相互館」のレリーフが展示されています。解説はないですが、説明文の写真にある正面玄関上にあったキーストーンと酷似しています。
ちなみにショーケース正面の歩道上にはベンチが設置されています。ベンチに座れば「第一相互館」の模型とレリーフを真正面から見ることができます。(ビル周辺の歩道上にはここ以外にベンチが設置されていません。皆さまに見てほしいとの想いで設置されたのでしょうか。)
2012年に完成した「相互館110タワー」(110は「いちいちまる」と呼びます。)
現在の3代目となる「相互館110タワー」は2012年(平成24年)に完成しました。建設に携ったのは、「第一相互館」と同じく清水建設が担当しています。「第一相互館」を彷彿させる尖塔のあるレトロな外観は、他のビルにはない大きな特徴となっています。110(いちいちまる)の意味は、第一生命が2012年に創業110年を迎えたこと、次の110年に向けて世紀を超える思いが込められているとのことです。
なお、辰野金吾が携わった東京駅丸の内駅舎は2012年(平成24年)に復元が完成。折下、辰野金吾が関わった2つの建築物が同時期に復活することと相なったのです。
「第一相互館」で使用された部材がオブジェに。
裏手にあるオフィス入口からエレベーターホールへ向かいます。
入口前にはステンドグラスのオブジェがあります。
このステンドグラスは「第一相互館」の中に飾られていたものと思われます。(実は入口に飾られているステンドグラスに関して、情報を見つけられることが出来ませんでした。なので今回は断定することを控えさせて頂きます。)
そしてエレベーターホールには、かつて「第一相互館」にあったブロンズ製のエレベーター扉がオブジェとして飾られています。
またエレベーターホールの壁には、これまで三代にわたるビルの写真とともに、三代「相互館110ビル」にかけた思いが紹介されています。
屋上には「第一相互館」を継承したドームが設置されています。
このビルの大きな特徴は、屋上に設置されたドーム型の物見塔です。初代「第一相互館」の屋上に設置されていたドームを継承、現代に甦りました。夜にはライトアップされ、京橋の地を照らし続けています。
屋上には別のステンドグラスも飾られているらしいです。
ちなみに、東海道新幹線で東京駅発車後、3人掛座席(A席側)を見ると、一瞬ですが見ることも出来ます。本当に一瞬です笑
以上、中央区が気になる界隈「相互館110ビル」編でした。
駆け足ではありましたが、中央区が気になる界隈「相互館110ビル」編、これにてミッションコンプリートです。建物は変われど、その想いは今でも継承されていることを感じ取って頂けたら幸いです。
研修の合間で慌てて調査した「相互館110ビル」ですが、まだまだ深堀り出来そうなビルです。少しでも気になった皆さまは是非現地へお越し頂き、歴史を感じて見てはいかがでしょうか。
なお、初代「第一相互館」については、墨田の花火さんのブログ「京橋物語3〜大正建築ロマン」にかなり詳しく書いておりましたので、気になる皆さまは是非!
『京橋物語3〜大正建築ロマン』
中央区観光特派員ブログ(墨田の花火さん)
https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/archive/2019/02/post-6104.html
(参考資料)
『清水建設「Shimiz DESIGN」』
https://www.shimz.co.jp/shimzdesign/works/2012sogokan.html
https://www.shimz.co.jp/shimzdesign/publishingexhibition/pdf/creation/creation_2012.pdf
『第一生命保険2011 年10月18日プレスリリース』
三代目相互館の名称「相互館 110 いちいちまる タワー」に決定!
https://www.dai-ichi-life.co.jp/company/news/pdf/2011_041.pdf
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