<住吉神社例大祭(8/6~8/10)迫る! vol.3>
江戸城から眺めた佃祭りの風景は?
浮世絵に描かれた中央区の名所(10)
~「名所江戸百景 佃しま住吉の祭」:歌川広重~
住吉神社の例大祭(佃祭り)は、江戸幕府に許可された由緒ある祭りで、江戸の夏の風物詩であり、広重の浮世絵にも描かれています。江戸城からは幟が見えたそうですが、その眺めはどのようなものだったのでしょうか。
「名所江戸百景 佃しま住吉の祭」: 歌川広重
タイトル画像は、1857(安政4)年に、歌川広重が佃祭りの風景を描いた作品、「名所江戸百景 佃しま住吉の祭」(出典:東京国立博物館)です。
中央に描かれた幟には、真ん中に「住吉大明神」と書かれ、横には「安政4年6月」と書かれています(絵の①)。佃島の中に、高さ6丈(約18メートル)もある幟が6本立ち、遠く江戸城からも見ることができたといわれています。
祭り好きの江戸っ子たちは、この幟をみて、誘われるように集まって来たのでしょう。佃祭りは、江戸時代も大人気だったといわれており、祭りで賑わう佃島を舞台にした古典落語「佃祭(つくだまつり)」の中に、その様子が描かれています。
奥には、裸の担ぎ手たちが神輿を担いだまま、葦(ヨシ)の茂る江戸湾の浅瀬を練り歩く、佃祭名物「海中渡御」の様子が描かれています(絵の②)。海中渡御は、昭和37年を最後に一旦途絶えましたが、平成2年に復活し、現在は、神輿を御座船に安置して水上巡行する船渡御が行われています。
この絵に描かれている神輿は、1838(天保9)年に奉納された八角形の「八角神輿」です。現在は、住吉神社で、この「八角神輿」を見ることが出来ますが、佃祭りでは、2011年に新たに製作された神輿が担がれます。
海中渡御を船から見物する姿もあり(絵の③)、右端には祭りちょうちんも見えます(絵の④)。
絵の右側には海が広がり、遠方に陸地が見えるため(絵の⑤)、広重は、佃島の東岸からこの絵を描いたと推測されます。遠くに見える陸地は、下総国(現在の千葉県北部と茨城県南西部あたり)でしょう。
絵の左側にある松の木の奥には対岸が見え(絵の⑥)、これは、深川の越中島(現在の江東区越中島)のあたりでしょう。
江戸城から見た佃祭りの風景
以下のブログで、「大幟の柱と抱木掘り出し」の風景をご紹介させて頂きました。
https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=7145
取材をしていた時も、住吉講員の方から、「この幟は、江戸城からも見えたそうです」とのご説明がありました。それでは、江戸城からはどのような風景が見えていたのでしょうか。
そのヒントが、佃まちかど展示館(↓)にありました。展示館の右手に、江戸時代の地図が展示されています。
江戸時代、佃島は離れ小島でした。地図を見ると、佃島の正面が江戸城を向いているのが分かります。佃島の漁師たちは、家康公とのご縁が深く、家康公を崇拝していたため、島の正面が江戸城を向くように造成したといわれています。
下の地図をみると、佃祭りでは、メインの通りの両側に3ヶ所ずつ、計6ヶ所、幟が建つことが分かります(★印)。
佃島は、都内で唯一、江戸時代の町割りがそのまま残っている場所です。現在の佃島の正面、つまり、佃島のメインの通りの延長線上に、江戸城がありました。
これらの情報を総合すると。。。
江戸城から見ると、メインの通りをはさんで両側に、3本ずつの幟がきれいに並んでいる風景が見えたのでしょう。
住吉神社例大祭
住吉神社例大祭のスケジュールやマップは、以下の住吉神社のサイトに詳しく紹介されていますので、こちらをご覧ください。
https://www.sumiyoshijinja.or.jp/pdf/Suminoe_2026kaki_nakamen.pdf
佃祭りの当日は、今回ご紹介させていただいた幟や海中渡御(船渡御)の様子を見ることができます。楽しみですね!
【過去ブログ、参考資料・出典】
このブログのシリーズのタイトルは、分かりやすく「浮世絵に描かれた」としていますが、浮世絵に限らず、挿絵などもご紹介させて頂いております。
●過去ブログ:
(1)「東海道五拾三次 日本橋 朝之景」:歌川広重 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6517
(2)「名所江戸百景 京橋竹がし」:歌川広重 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6510
(3)「名所江戸百景 するがてふ」:歌川広重 & 【イベントのお知らせ】2月15日(日)まで「日本橋イルミネーション~こころ躍るNIHONBASHI」と「カナエルNIHONBASHI2025-26」開催中、残り期間わずかです! https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6519
(4)「名所江戸百景 びくにはし雪中」:歌川広重 & 【ショップのご紹介(バレンタインギフトも!)】茨城県のアンテナショップ 「IBARAKI sense(イバラキセンス)」 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6590
(5)「名所江戸百景 日本橋雪晴」:歌川広重 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6594
(6)「浮絵駿河町呉服屋図」:歌川豊春 & 【三越アーカイブス日本橋】「佐藤玄々と天女像」展示(~3月24日(火)) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6703
(7)「冨嶽三十六景 江戸日本橋」:葛飾北斎 & 浮世絵を手に、日本橋の未来を覗いてみませんか https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6630
(8)「名所江戸百景 両国橋大川ばた」:歌川広重 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6639
(9) 「江戸名所図会 西本願寺」 & 築地場外市場、「なぜ、こんなところにお寺が?」《ナゾ解き編》 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=7017
●参考資料・出典(ホームページ含む):
中央区、中央区観光協会、歩いてわかる中央区ものしり百科、Central Tokyo for Tourism(東京中央区オフィシャル観光ガイド)、中央区立図書館、国立国会図書館、東京国立博物館、国立文化財機構、東京都立図書館、東京都立博物館、ColBase、中央区沿革図集、神奈川県伊勢原市、東京建物、住吉神社
一度は見たい「浮世絵」名作100選-究極の名画を完全網羅!(宝島社)、浮世絵-江戸庶民が愛したメディアアートの歴史・名品・技法(カラー版徹底図解)(新星出版社)、図解でスッと頭に入る浮世絵(昭文社)、世界でいちばん素敵な浮世絵の教室(三才ブックス)、2時間でわかる浮世絵の本(自由国民社)、浮世絵の解剖図鑑-江戸の暮らしがよく分かる(エクスナレッジ)、ぶらり謎解き浮世絵さんぽ-お江戸にタイムトリップ(エクスナレッジ)、浮世絵でたどる!江戸の凸凹地形散歩(山川出版社)、浮世絵と古地図でたどる江戸の名所-江戸の名所をめぐればわかる!江戸っ子たちの暮らしと嗜み(洋泉社MOOK)(洋泉社)、広重「名所江戸百景」展 江戸開府400年記念-江戸切絵図と現代絵地図で辿る119名所(中央区江戸開府400年記念事業実行委員会)、浮世絵TOKYO名所案内-古地図でめぐる江戸東京ぶらり旅(メイツ出版)、新編浮世絵の基礎知識(雄山閣)、日本橋街並み商業史(慶応義塾大学出版会)、日本橋街並み繁昌史(慶応義塾大学出版会)、読んで歩いて日本橋-街と人のドラマ(慶応義塾大学出版会)、携帯東京古地図散歩 丸の内編(青幻舎)、重ね地図でたどる東京歴史散歩(宝島社)、江戸の町は骨だらけ(筑摩書房)、東京を江戸の古地図で歩く本(河出書房新社)、東京の江戸めぐりさんぽ-今に残る江戸の読み解きかた(エクスナレッジ)、江戸のひみつ-町と暮らしがわかる本 江戸っ子の生活超入門(メイツ出版)、大江戸見聞録(江戸文化歴史検定公式テキスト初級編)(小学館)、江戸・東京の歴史と地理-江戸の“魅力”がこの一冊で!(日本実業出版社)、江戸東京名所事典-古地図で辿る歴史と文化(笠間書院)、江戸人のしきたり-日本橋、天麩羅、三社札 寺子屋、歌舞伎、吉原…日本人の知恵と元気の源泉(幻冬舎)、江戸の懐古(講談社)、江戸切絵図を歩く(新人物往来社)、江戸から東京へ 第一巻(中央公論社)、江戸から東京へ 第九巻(中央公論社)、写真のなかの江戸-絵図と古地図で読み解く20の都市風景-(ユウブックス)、江戸を知る事典(東京堂出版)、江戸→TOKYOなりたちの教科書1 一冊でつかむ東京の都市形成史(淡交社)、江戸→TOKYOなりたちの教科書2 丸の内・銀座・神楽坂から東京を解剖する(淡交社)、江戸→TOKYOなりたちの教科書3 東京の基盤をつくった「武家屋敷物語」(淡交社)、江戸→TOKYOなりたちの教科書4 東京の古層を探るパワースポット寺社巡り(淡交社)、地図で読みとく江戸・東京の「地形と経済」のしくみ(日本実業出版社)、図解でスッと頭に入る江戸時代(昭文社)、江戸を知る-江戸学事始め(敬文舎)、江戸想像散歩-江戸図のなかを歩く・眺める(旬報社)、江戸・東京を造った人々2(筑摩書房)、家康が築いた江戸の見取り図(青春出版社)、『江戸名所図会』と浮世絵で歩く東京-まち、ひと、文化の今と昔(ビジネス社)
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