浜ちゃん

「中央区とのご縁:べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜㉘」
~賀茂真淵(日本橋浜町):加藤千蔭(演:中山秀征)、松平定信(演:井上祐貴)~
第28話 & 第29話は第41話の伏線でした! 第29話「艶二郎」と第41話「加藤千蔭」とのご縁もご紹介します

ドラマ第41話で、中山秀征さんが演じる「加藤千蔭」が登場し、「賀茂真淵」の門下筆頭の和学者として紹介されていました。賀茂真淵は、松平定信の父・田安宗武の師でもあり、日本橋浜町に住んでいました。

“べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜”
第41話「歌麿筆美人大首絵」

“べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜”
第41話「歌麿筆美人大首絵」 「中央区とのご縁:べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜㉘」
~賀茂真淵(日本橋浜町):加藤千蔭(演:中山秀征)、松平定信(演:井上祐貴)~
第28話 & 第29話は第41話の伏線でした! 第29話「艶二郎」と第41話「加藤千蔭」とのご縁もご紹介します

1026()放映の第41話で、蔦重と妻てい(演:橋本愛)は、女性向けの美しい書物を作成するために、和歌の名手で書家でもある国学者・加藤千蔭(かとうちかげ)(演:中山秀征)を接待しました。ていは、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)(演:染谷将太)が描いた雲母摺大首絵を見て、背景が黒で文字が白の書物を思いつき、加藤千蔭の白抜きの斬新な書物「ゆきかひぶり」(画像)が誕生しました。

ドラマの中で、蔦重は、店を立て直すために、尾張に商談に向かうことになりました。旅立ち前、初めて母つよ(演:高岡早紀)に髪結いをしてもらいながら交わした対話は、「べらぼう」史に残る名場面でした。これまで、蔦重は、つよを「ババア」と呼んでおり、また、つよも蔦重を「旦那様」と呼んでいましたが、はじめて、蔦重は「おっかさん」、つよは「重三郎」と呼び合っていました。実際には、お互いの愛情がとても深い親子でした。史実については、以下のブログ(↓)をご覧ください。

https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6219

(*) 画像『ゆきかひぶり』(奈良女子大学学術情報センター所蔵) 出典: 国書データベース,https://doi.org/10.20730/100258511

 

賀茂真淵、加藤千蔭(かとうちかげ)(演:中山秀征)、本居宣長
第28話 & 第29話は第41話の伏線でした!

加藤千蔭は、江戸時代中期から後期にかけての国学者です。国学の大家である賀茂真淵(かものまぶち)に学び、和歌の名手でもあり、書にも長じていました。第41話で初めて登場しましたが、蔦重や北尾政演(きたおまさのぶ)(=山東京伝(さんとうきょうでん))(演:古川雄大)と、以前から交流がありました。

 

41話の中で、蔦重は、加藤千蔭に、「艶二郎(えんじろう)の時にはお世話になりました」と、お礼をしていました。また、妻ていには、口を巾着袋に見立てて紐を絞って閉じる、「お口巾着」の仕草をしていました。ドラマ「べらぼう」ファンの方は、「艶二郎」も「お口巾着」も覚えていらっしゃるかと思います。

727()放映の第28話は、田沼意知(たぬまおきとも)(演:宮沢氷魚)が、江戸城内において佐野政言(さのまさこと)(演:矢本悠馬)に突然斬りつけられ、亡くなった回でした。また、ていの「お口巾着」の仕草が、ネットで「癒し」と話題になっていました。ドラマの最後には、北尾政演(=山東京伝)が蔦重に、「絵心のある人に手拭(てぬぐい)の柄を考えてもらい、「手拭合」の本を出そうと考えている」として、「暖簾からこちらを覗く男」(下の画像上段)を見せていました。これは、北尾政演が描いた、手ぬぐいのデザインを題材にした洒落本、「志やれ染手拭合(しゃれぞめたなぐいあわせ )」です。蔦重は、この絵を見て、愛する田沼意知を亡くして、悲嘆にくれる誰袖(たがそで)(演:福原遥)を、もう一度笑わせることができる手を思いつきました。

83()放映の第29話で、「ミュージカル界のプリンス」と称される、古川雄大さん(北尾政演)が演じた劇中劇、「江戸生艶気樺焼(えどうまれうわきのかばやき)」(下の画像下段)の主人公が「艶二郎」です。「暖簾からこちらを覗く男」の顔とそっくりですね。蔦重が黄表紙「江戸生艶気樺焼」を、誰袖に読み聞かせたところ、誰袖は笑顔を取り戻しました。

 

加藤千蔭は、正統派の文化人である一方、山東京伝のような戯作者とも付き合う幅の広い人物でした。下の画像上段の「暖簾からこちらを覗く男」の絵の右下に、この絵柄を考えた人の名前として、「鴨鞭蔭(かものむちかげ)」と記されています。「鴨鞭蔭」は、賀茂真淵と加藤千蔭の名前を重ねたもので、加藤千蔭だと言われています。

加藤千蔭のアイデアの、「京伝鼻」と呼ばれる「暖簾からこちらを覗く男」が、「江戸生艶気樺焼」の主人公「艶二郎」が生まれるきっかけになったので、第41話の中で、蔦重が加藤千蔭にお礼を言っていたのです。

 

7月下旬~8月初旬に放映された第28話、第29話の内容が、10月下旬放映の第41話の伏線になっていました。さすが、「森下佳子さん」です!

ドラマ第28話、第29話については、以下のブログ(↓)をご覧いただけますと幸いです。

28話:https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6149

29話:https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6197

 「中央区とのご縁:べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜㉘」
~賀茂真淵(日本橋浜町):加藤千蔭(演:中山秀征)、松平定信(演:井上祐貴)~
第28話 & 第29話は第41話の伏線でした! 第29話「艶二郎」と第41話「加藤千蔭」とのご縁もご紹介します
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~賀茂真淵(日本橋浜町):加藤千蔭(演:中山秀征)、松平定信(演:井上祐貴)~
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(画像上段)「志やれ染手拭合(しゃれぞめたなぐいあわせ )」(出典:国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2537594

(画像下段)「江戸生艶気樺焼」(出典:東京都立図書館)

 

江戸時代の国学者として有名な、「本居宣長(もとおりのりなが)」も、賀茂真淵の門弟でした。本居宣長は、蔦重ともつながりがありました。寛政7年(1795年)、蔦重46歳のとき、本居宣長に会うために伊勢松坂を目指しました。蔦重は、本居宣長から江戸売弘めの許可を得て、耕書堂から本居宣長の著作が売り出されることになりました。このストーリーは、今後、ドラマの中で描かれるかもしれませんね。

この2人の国学者の師が、「賀茂真淵(かものまぶち)」で、日本橋浜町に住んでいました。

賀茂真淵縣居(かものまぶち あがたい)の跡
賀茂真淵と松平定信(まつだいらさだのぶ)(演:井上祐貴)とのご縁

賀茂真淵は、国学の基礎を築き、国学の指導的立場にあった人物です。真淵の著名な門人には、本居宣長(もとおりのりなが)、加藤千蔭(かとうちかげ)、村田春海(むらたはるみ)などがいます。

延享3年(1746年)、真淵は、徳川御三卿の1人である田安家の「和学御用」として田安家に仕えることになりました。真淵は、延享3年(1746年)から、宝暦10年(1760年)、真淵64歳までの15年間、松平定信の父、田安宗武(たやすむねたけ)に国学を教えました。

真淵は、64歳で隠居した後、明和元年(1764年)、68歳のときに、田安家や門人たちの助力により、浜町に住居を建て、田舎風な住居を意味する「縣居(あがたい)」を堂号としました。真淵は、この居宅で、万葉集を注釈した「万葉考(まんようこう)」などを著し、また、歌会なども数多く開催しました。

 

タイトル画像は日本橋浜町にある「明治座」です。「浜ちゃん」は、最近、「大逆転!戦国武将誉賑(せんごくかーにばる)」を楽しませて頂きました。松平健さんがモノマネを披露してくれるなど、ずっと笑って、時々、泣ける、そして最後には、お約束の「マツケンサンバ」で会場全体が盛り上がる、素晴らしいショーでした。次回は、来年1月に、「松平健×コロッケ45周年特別公演」(↓)が開催されます。

https://www.meijiza.co.jp/info/2026/2026_01_01/

下の画像上段は「賀茂真淵縣居の跡」の案内板、下の画像下段は「ナウマンゾウの化石「浜町標本」発掘の地」の案内板、です。昭和51年の都営地下鉄新宿線浜町駅付近での工事中に、約15万年前の地層から3体のナウマンゾウの化石が出土しました。

 「中央区とのご縁:べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜㉘」
~賀茂真淵(日本橋浜町):加藤千蔭(演:中山秀征)、松平定信(演:井上祐貴)~
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アクセス

「賀茂真淵縣居の跡」の案内板:「どらっぐぱぱす」前の歩道脇

「ナウマンゾウの化石「浜町標本」発掘の地」の案内板:都営地下鉄新宿線浜町駅A2出口付近

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~賀茂真淵(日本橋浜町):加藤千蔭(演:中山秀征)、松平定信(演:井上祐貴)~
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【過去ブログ、参考資料・出典】

●過去ブログ:

      伝馬町牢屋敷:平賀源内 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5849

      浜離宮恩賜庭園:徳川将軍家の鷹狩場 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5856

      長崎屋、石町時の鐘:平賀源内 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5861

      日本橋 拾軒店:瀬川「青楼美人合姿鏡」https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5907

      日本橋瀬戸物町(福徳神社):鳥山検校 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5920

      狩野派:鳥山石燕、田沼意次、松平定信 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5987

      「耕書堂」(日本橋通油町):蔦屋重三郎 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5980

      熈代勝覧(きだいしょうらん):須原屋市兵衛(演:里見浩太朗) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5996

      「べらぼうフェスティバル in 日本橋」(7/47/6)と「べらぼう 蔦屋重三郎 ゆかりの地めぐり(マップ付)」 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6014

      祝 蔦重:結婚、日本橋進出! 「大江戸問屋祭り」7/6()開催:鶴屋喜右衛門(演:風間俊介) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6063

      日本橋「白木屋」と「名水白木屋の井戸」:白木屋彦太郎(演:堀内正美) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6056

      池洲稲荷神社:鱗形屋孫兵衛(演:片岡愛之助)、7/22() 日本橋大伝馬町「池洲夏祭り」開催! https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6095

      小伝馬町・大伝馬町:宿屋飯盛(石川雅望)(演:「ピース」又吉直樹) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6102

      末廣神社「元葭原夕暮れ参り」:「吉原細見」のルーツは「元吉原(元葭原)」にあります https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6143

      伝馬町牢屋敷:田沼意知(演:宮沢氷魚)、佐野政言(演:矢本悠馬) 「中央区まちかど展示館 夏休みスタンプラリー&クイズ」開催中 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6149

      830日(土)「歴史を旅するプロジェクションマッピング Vol.2」開催(中央区立日本橋中学校) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6194

      高尾稲荷神社(日本橋箱崎町):遊女の一生、誰袖(演:福原遥) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6197

      薬研堀(薬研堀不動院):礒田湖龍斎(いそだこりゅうさい)(演:鉄拳) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6179

      椙森神社:北尾政美(きたおまさよし)(演:高島豪志) 宝くじファン必見、92日(くじの日)に椙森神社にて富塚祈願祭が開催されます! https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6207

      101日(水)「トークショーin中央区」開催:蔦重の母「つよ」(演:高岡早紀) 申込締切97日(日)(応募多数の場合は抽選) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6219

21      常盤橋門:北町奉行「曲淵景漸」(演:平田広明)<第33話「打壊演太女功徳」は「太夫(太女)が演じるエンタメ(演太女)」の回?:富本斎宮太夫(演:新浜レオン)> https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6274

22      【~蔦屋重三郎と絵師たち~、「第18 EDO ART EXPO(江戸アートエキスポ)」開催(926日(金)~1014日(火))】 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6292

23      鉄砲洲(鐵砲洲稲荷神社):平秩東作(演:木村了) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6180

24      日本橋中洲(清洲橋、真砂座跡碑)、薬研堀(薬研堀不動院):田沼意次(演:渡辺謙)、松平定信(演:井上祐貴) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6162

25      秋の中央区はイベント盛りだくさん! 【江戸の出版文化と日本橋 ―蔦屋重三郎とその周辺―】 925()119()  特別展開催中 (本の森ちゅうおう)(入場無料) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6327

26      日本橋浜町、蘭学事始地碑(明石町):杉田玄白 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6012

27      三光稲荷神社(人形町):勝川春章(演:前野朋哉) 1019日(日)放映の第40話は、勝川春朗(のちの葛飾北斎)を演じる「くっきー!」登場 & お笑い芸人オンパレード! https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6238

 

●参考資料・出典(ホームページ含む):

賀茂真淵(人物叢書 新装版)(吉川弘文館)、古典籍研究ガイダンス-王朝文学をよむために(笠間書院)、江戸の学問と文藝世界(森話社)、浸透する教養 江戸の出版文化という回路(勉誠出版)、本居宣長 日本人のこころの言葉(創元社)、本居宣長 新装版(人と思想)(清水書院)、先哲の学問(筑摩書房)、本居宣長(人物厳書)(吉川弘文館)、本居宣長-天地万物、皆吾ガ賞楽ノ具ナルノミ-(ミネルヴァ書房)、

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