「中央区とのご縁:べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜㉗」
~三光稲荷神社(人形町):勝川春章(演:前野朋哉)~
10月19日(日)放映の第40話は、勝川春朗(のちの葛飾北斎)を演じる「くっきー!」登場 & お笑い芸人オンパレード!
「青楼美人合姿鏡」を描いた、絵師の「勝川春章」は、勝川春朗(のちの葛飾北斎)(演:くっきー!)の師匠であり、人形町の「三光稲荷神社」(タイトル画像)の近所に住んでいました。
“べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜”
第10話「『青楼美人』の見る夢は」
第40話「尽きせぬは欲の泉」
3月9日(日)放映の第10話で、蔦重が、吉原を去っていく花魁「瀬川(せがわ)」(演:小芝風花)に餞別として渡したのが、「青楼美人合姿鏡(せいろうびじんあわせすがたかがみ)」でした。豪華な遊女の錦絵「青楼美人合姿鏡」を描いたのは、当時もっとも人気のあった絵師の、勝川春章(かつかわしゅんしょう)(演:前野朋哉)と北尾重政(きたおしげまさ)(演:橋本淳)でした。また、ドラマ終了後のナレーションで、勝川春章は人形町に住んでいたことが紹介されていました。
「青楼美人合姿鏡」については、以下のブログ(↓)をご覧ください。
https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5907
(画像「青楼美人合姿鏡」:出典ColBase(https://colbase.nich.go.jp/))
10月19日(日)放映の第40話では、勝川春朗(かつかわしゅんろう)〈のちの葛飾北斎(かつしかほくさい)〉(演:くっきー!)が、師匠である勝川春章に連れられて、蔦重の耕書堂を訪れました。第40話は、お笑い芸人のオンパレードでしたね。「浜ちゃん」も「ウォーリーをさがせ!」のように、探しました。以下のカッコ内は、ドラマ開始から登場までの時間です。
(10分)くっきー!:勝川春朗
(18分、25分)U字工事/益子卓郎:栃木の豪商・釜屋伊兵衛(かまやいへえ)
(18分)U字工事/福田薫:栃木の豪商・喜兵衛(きへえ)
(18分)どぶろっく/江口直人:栃木の豪商との宴の席で歌麿と交流する生臭坊主
(20分)コウメ太夫:水茶屋・難波屋(なにわや)(看板娘おきた)の主人
宿屋飯盛(石川雅望)を演じる、「ピース」又吉直樹さんも出演していますが、又吉さんをお笑い芸人の範疇に入れてよいか迷い、記載していません。
次回予告に出ていましたが、第41話に、爆笑問題の太田光さんが登場します。
U字工事の益子卓郎さん演じる、栃木の豪商・釜屋伊兵衛と、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)(演:染谷将太)との関係は、以下のブログ(↓)をご覧ください。
https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6162
「ピース」又吉直樹さんが演じる、宿屋飯盛(石川雅望)は、以下のブログ(↓)をご覧ください。
勝川春章(演:前野朋哉)
勝川春章は勝川派の開祖で、役者絵の先駆者として、江戸中期の浮世絵界をリードした絵師の一人です。姓は藤原、名は正輝、俗称は最初に要助、のち祐助と改めました。肉筆美人画に長じた絵師・宮川春水(みやがわしゅんすい)に学び、春章の画号を名乗るようになりました。画姓は当初、宮川や勝宮川を名乗っていましたが、後に勝川と改めました。
春章は、美人画と役者絵を得意とし、とくに役者絵は、写実的な似顔と大首絵で大衆のニーズをつかんで大人気を博し、のちの、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)(演:染谷将太)の「美人画」や、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)の「大首絵」に大きな影響を与えました。また、春章には、勝川春朗(のちの葛飾北斎)(演:くっきー!)をはじめ、多くの弟子がいました。
下の画像上段は、「東扇 中村仲蔵(あずまおうぎ なかむらなかぞう)」(出典:東京国立博物館)で、役者の半身像を描いた揃物です。扇形の枠に沿って切り抜いて使用できるペーパークラフトのようなブロマイドで、扇子に仕立てるための折り筋も凹凸で摺られており、「上下を揃え六寸(約18㎝)で切り手持ちの扇に貼る、もしくは屏風や襖などに張り交ぜにもできる」という説明書きが添えられています。春章は、役者絵で培った似顔表現を用いて、相撲絵や武者絵など幅広い分野の絵を手掛けました。
春章は、美人画にも積極的で、精緻な筆遣いにより、「遊女読簡図」(下の画像下段、出典:東京国立博物館)のような肉筆画の名品を続々と生み出しました。弟子の葛飾北斎は、「冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」をはじめとする名所絵(風景画)で有名ですが、美人画にも優れた作品を残しており、春章の弟子だった若い頃の修行の成果が存分に発揮されたといえるでしょう。
三光稲荷神社
勝川春章の住居は、長谷川町新道(はせがわちょうじんみち)(現・中央区日本橋堀留町~人形町あたり)にあり、北尾重政の向かいに住んでいた時期もあったとの記録が残っています。
長谷川町新道は、長谷川町にある「三光新道」のことを指していると言われており、「三光稲荷神社」の前通りが「三光新道」と称されていました。三光稲荷神社は、もとは人形町3丁目に接する道路に面していましたが、昭和8年の区画整理後に現在の地に移転し、その前の通りが三光新道と呼ばれるようになりました。
江戸時代に人形町にあった「中村座」に出演していた大阪の歌舞伎役者、関三十郎が演技中に、場内で霊光のような閃きがあり、体から光が放出したと賞賛され、一躍名声をはくしました。関三十郎は、伏見より勧請して、自分の三と光を合わせ「三光稲荷」としました。これが、「三光稲荷神社」の由来で、人形町通りを三光新道の入り口から小伝馬町駅方面に10数メートル進んだところにある化粧品店「OKINA(オキナ)」で、詳しい説明書を入手することができます。「オキナ」のお店の方にお伺いしたところ、神社の入り口にある鳥居は、都内では珍しいヒノキ造りで、20年ごとに塗りなおしており、去年塗りなおしたばかりとのことでした。どうりで、鮮明な朱色をしているのだと思いました。
また、この神社は古くから、猫を見失った際に霊験ありとされており、猫が無事に帰ってきたお礼として奉納された、招き猫などの猫の置物が境内に並んでいます。
写真上段が現在の「三光新道」、下段が「神社に奉納された猫の置物」、です。
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【過去ブログ、参考資料・出典】
●過去ブログ:
① 伝馬町牢屋敷:平賀源内 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5849
② 浜離宮恩賜庭園:徳川将軍家の鷹狩場 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5856
③ 長崎屋、石町時の鐘:平賀源内 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5861
④ 日本橋 拾軒店:瀬川「青楼美人合姿鏡」https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5907
⑤ 日本橋瀬戸物町(福徳神社):鳥山検校 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5920
⑥ 狩野派:鳥山石燕、田沼意次、松平定信 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5987
⑦ 「耕書堂」(日本橋通油町):蔦屋重三郎 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5980
⑧ 熈代勝覧(きだいしょうらん):須原屋市兵衛(演:里見浩太朗) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=5996
⑨ 「べらぼうフェスティバル in 日本橋」(7/4~7/6)と「べらぼう 蔦屋重三郎 ゆかりの地めぐり(マップ付)」 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6014
⑩ 祝 蔦重:結婚、日本橋進出! 「大江戸問屋祭り」7/6(日)開催:鶴屋喜右衛門(演:風間俊介) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6063
⑪ 日本橋「白木屋」と「名水白木屋の井戸」:白木屋彦太郎(演:堀内正美) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6056
⑫ 池洲稲荷神社:鱗形屋孫兵衛(演:片岡愛之助)、7/22(火) 日本橋大伝馬町「池洲夏祭り」開催! https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6095
⑬ 小伝馬町・大伝馬町:宿屋飯盛(石川雅望)(演:「ピース」又吉直樹) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6102
⑭ 末廣神社「元葭原夕暮れ参り」:「吉原細見」のルーツは「元吉原(元葭原)」にあります https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6143
⑮ 伝馬町牢屋敷:田沼意知(演:宮沢氷魚)、佐野政言(演:矢本悠馬) 「中央区まちかど展示館 夏休みスタンプラリー&クイズ」開催中 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6149
⑯ 8月30日(土)「歴史を旅するプロジェクションマッピング Vol.2」開催(中央区立日本橋中学校) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6194
⑰ 高尾稲荷神社(日本橋箱崎町):遊女の一生、誰袖(演:福原遥) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6197
⑱ 薬研堀(薬研堀不動院):礒田湖龍斎(いそだこりゅうさい)(演:鉄拳) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6179
⑲ 椙森神社:北尾政美(きたおまさよし)(演:高島豪志) 宝くじファン必見、9月2日(くじの日)に椙森神社にて富塚祈願祭が開催されます! https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6207
⑳ 10月1日(水)「トークショーin中央区」開催:蔦重の母「つよ」(演:高岡早紀) 申込締切9月7日(日)(応募多数の場合は抽選) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6219
21 常盤橋門:北町奉行「曲淵景漸」(演:平田広明)<第33話「打壊演太女功徳」は「太夫(太女)が演じるエンタメ(演太女)」の回?:富本斎宮太夫(演:新浜レオン)> https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6274
22 【~蔦屋重三郎と絵師たち~、「第18回 EDO ART EXPO(江戸アートエキスポ)」開催(9月26日(金)~10月14日(火))】 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6292
23 鉄砲洲(鐵砲洲稲荷神社):平秩東作(演:木村了) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6180
24 日本橋中洲(清洲橋、真砂座跡碑)、薬研堀(薬研堀不動院):田沼意次(演:渡辺謙)、松平定信(演:井上祐貴) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6162
25 秋の中央区はイベント盛りだくさん! 【江戸の出版文化と日本橋 ―蔦屋重三郎とその周辺―】 9月25日(木)~11月9日(日) 特別展開催中 (本の森ちゅうおう)(入場無料) https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6327
26 日本橋浜町、蘭学事始地碑(明石町):杉田玄白 https://tokuhain.chuo-kanko.or.jp/detail.php?id=6012
●参考資料・出典(ホームページ含む):
歩いてわかる中央区ものしり百科、中央区、国立国会図書館、東京都立図書館、国立文化財機構、東京国立博物館、NHK、プレジデント、サライ、ステラNet、東京都公園協会、浜離宮恩賜庭園、東京都、郵政博物館、「十軒店跡」案内板、福徳神社、京都大学、二条城、メトロポリタン美術館、イチマス田源、蔦重通油町ギャラリー、十思スクエア蔦重ギャラリー、熈代勝覧、Central Tokyo for Tourism(東京中央区オフィシャル観光ガイド)、東京大学、江戸東京博物館、中央区沿革図集、高尾稲荷神社、東北大学、東京富士美術館、薬研堀不動院、椙森神社、烏森神社、誠向山正法寺、EDO ART EXPO、日本橋美人新聞、鉄砲洲稲荷神社、国文学研究資料館、早稲田大学、印刷博物館、文化遺産オンライン
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